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動物園、寄付で支える 広がるサポーター制度
環境教育などに期待

2017/9/7 14:20
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地域住民らが地元の動物園を寄付を通じて支援する動きが各地で活発になっている。資金不足に悩む施設が少なくないなか、餌代や遊具の購入費用を提供する。動物園に求められる役割は近年、環境教育や自然保護へと広がりをみせる。「財産として子や孫に残したい」。人々の積極的な取り組みに、施設側や専門家は「社会インフラの一つとして支え続けてほしい」と期待を寄せる。

ゾウの園舎前に寄付者名が掲示された京都市動物園(京都市左京区)

ゾウの園舎前に寄付者名が掲示された京都市動物園(京都市左京区)

創立114年と国内2番目の歴史を持ち、キリンやライオンなど122種の動物を展示する京都市動物園(左京区)。6月下旬、同園を訪れた京都市の坂田大介さん(42)は長女(10)と2人、鼻で器用にリンゴを口まで運ぶゾウに「おなかいっぱい食べてね」と声をかけた。

坂田さんは、市が個人や企業から資金援助を受けながら園を運営するため、2014年に採用した「サポーター制度」に協力する。個人は餌代を支援でき、坂田さんは3年前から毎年10万円の寄付を続ける。「子供が動物と接する機会を持ち、あらゆる種が共存する大切さを感じてほしい。いずれは孫と3世代で訪れたい」という。

市によると、昨年度、28人が年間パスポートの提供を受けられる1万円以上を寄付し、1万円未満も含めると約330万円が集まった。市民からの寄付が設立の契機となった同園。担当者は「寄付を通じ、地域の人々にも運営に参画する意識を持ってもらい、園の100年先を見据えたい」と話す。

大阪府岬町にある民営の「みさき公園」も今年4月、初めてサポーター制度を導入。募集した3カ月間で目標の100万円を超える約160万円が届いた。「『お気に入りの動物のためになるのであれば』と全国から支援が集まった。自分が育てている感覚で、今後も愛し続けてほしい」(同園)

名古屋市では千種区の東山動植物園が、10年前から同様の制度を採り入れ、ゴリラが使う室内遊具やホッキョクグマに餌をあげる機器などを購入した。担当者は「市民の意見や要望を採り入れながら、一体となって動物園を運営していけたら」と話す。

帝京科学大の佐渡友陽一講師(動物園学)は「かつては単なる娯楽施設だった動物園は、生き物の生態を通じて自然や環境を学ぶ教育施設や、種を保存し繁殖につなげる機関としての役割を担うようになっている」と指摘。「大切な社会資本として、行政と地域が手を携えて維持、発展させていく姿勢が求められている」としている。

資金不足の施設多く 平均入園者はピークの半分

動物園は大きく分けて、自治体などが運営する公営と民間企業などによる民営の2種類がある。日本動物園水族館協会(東京・台東)によると、全体の8割を公営が占め、日本では1950年ごろから、住民サービスの一環として開設する自治体が多くなった。

同協会がまとめた資料によると、協会加盟の動物園は2016年度までの20年間、90カ所前後で推移する一方、1年間の平均入園者数は20年前で52万6千人余りいたが、16年度は約47万7千人。統計が残る1974年度以降でピークだった同年度の94万1千人余と比較すると、ほぼ半減している。

動物園の運営などに詳しい佐渡友陽一講師によると、公営の場合、入場料収入は支出全体の4割にとどまり、残りの大部分を公金で賄うケースが多いのが実情。公的な支援のない民営の運営はさらに厳しいという。

佐渡友講師は「施設の老朽化に伴う費用負担や少子化による入場者数の減少などが、各地の動物園を悩ませ続けている」と話している。

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