日本サッカー世界への挑戦

フォローする

サッカー日本、ここから本当の戦いが始まる
サッカージャーナリスト 大住良之

(2/3ページ)
2017/9/7 6:30
保存
共有
印刷
その他

残念ながらすべての時代のデータがそろっているわけではないが、イビチャ・オシム監督時代(06~07年)には、1試合の平均パス数566本、成功率は80%だった。岡田武史監督時代(08~10年)になってからパス数は460本程度となったが、成功率は引き続き80%を超していた(ただし守備的な戦いを余儀なくされた10年ワールドカップで1試合90分間の平均パス数384本、成功率は63%だった)。

ザッケローニ監督時代は本田、香川、岡崎が攻撃陣に定着し、この「日本スタイル」の絶頂期だった。14年ワールドカップでは1分け2敗と苦戦したが、それでも3試合を平均したパス数は545本、成功率78%だった。1-4で敗れたコロンビア戦も、ボール支配では日本のほうが大きく勝り、56%という数字を残した。

ハリルホジッチ監督はボールを奪ったら、時間をかけずに前に出ることを求めた=共同

ハリルホジッチ監督はボールを奪ったら、時間をかけずに前に出ることを求めた=共同

だがハリルホジッチ監督はドイツ(10年から優勝した14年にかけて、パス数は23%増しの1試合平均663本となり、成功率も72%から82%へと急上昇した)を除けば、時代の趨勢である「縦に速いサッカー」を志向、ボールを奪ったら時間をかけずに前に出ることを求めた。1年目は以前のスタイルとこの新しいスタイルへのトライの間で混乱もあったが、16年は主力のコンディション悪化に注目が集まり、そうしたテーマは話題に上らなくなっていた。

だがまさに命運をかけた8月末のオーストラリア戦で、「ハリルホジッチ・スタイル」はいきなり開花した。アジアサッカー連盟(AFC)の公式サイトに掲載されたデータによれば、この試合の日本の総パス数はわずか305本、成功率は70.8%と低く、ボール支配にいたっては33.5%(相手は66.5%)と、ほぼ一方的だった。

しかし試合内容を見れば、後半、押し込まれた時間はあったものの、日本は落ち着きを失わず、ほぼ90分間試合をコントロール下に置いた。18本のシュート(うちエリア内から9本、枠内に飛んだもの5本)、相手のオーストラリアをシュート5本(エリア内1本、枠内1本)に抑え、圧倒的内容で2-0の勝利をつかんだ。

ハリルホジッチ監督が強調してきた「デュエル(1対1の戦い)」でも、勝率53.4%と相手を上回り、驚くべきことにオーストラリアを相手に空中戦でも57.7%の勝率を記録した。これにインターセプト数32(相手は12)というデータを加えれば、ただオーストラリアに初めてワールドカップ予選で勝ったという事実だけでなく、日本代表のサッカーがまったく新しいスタイルに変質した歴史的な試合であったことがわかるだろう。

従来の「日本スタイル」が間違っていたという意味ではない。日々進歩する世界のサッカーの中で上位に行く可能性のあるスタイルとしてハリルホジッチ監督が提示し、選手たちに求め続けてきたのがこのサッカーだった。それを過去2年半で最も重要な試合で実現したことこそ、ハリルホジッチ監督の真の勝利だった。

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

サッカーコラム

電子版トップスポーツトップ

日本サッカー世界への挑戦 一覧

フォローする
9日、グラーツ近郊で行われたパナマ戦に向けた初練習で、円陣を組む日本代表=共同共同

 「10月の活動(対カメルーン、コートジボワール戦)で出た成果と課題を整理し、すべての面でレベルアップしたい」
 パナマ(11月13日)、メキシコ(同17日)と2試合を戦うオーストリアのグラーツでのキャ …続き (11/12)

2月に行われたACLの水原戦で勝利し、サポーターの歓声に応える神戸・イニエスタ(手前右から2人目)ら=共同共同

 3月上旬にストップしたままだったサッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)東地区の試合が、11月にカタールのドーハで再開する。グループステージの残り37試合とともに、ノックアウトステージ(すべ …続き (10/29)

オランダで国際親善試合を行った日本代表の活動再開は大成功だったといえる=ロイターロイター

 オランダのユトレヒトを舞台に、9日のカメルーン戦、13日のコートジボワール戦の2試合を戦ったサッカー日本代表の「活動再開」は大成功だったと思う。
 試合結果は1勝1分け。カメルーンと0-0で引き分けた …続き (10/15)

ハイライト・スポーツ

[PR]