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子会社社長というポジション(十字路)

経営の一線を退いた人材が顧問や相談役に就くことへの批判が強い。規制一辺倒には疑問を感じるが、企業統治の点からは、子会社社長というポジションも悩ましい。

自立自走する元気な子会社の話ではない。親会社から天下ってくる社長の話である。優秀な経営者として子会社を活性化させたり、親会社などに戻ってさらに活躍したりする方々は多い。

だが、親会社の元重役が個室と秘書、社用車の確保に加えて退職慰労金代わりの報酬を受け取る場となっていたり、権力闘争の果てに敗れた役員を遇する落としどころとして使われたりする例もいまだ目に付く。

この種の「社長」が就任すると、子会社の士気は当然ながら落ちる。事業とは縁もゆかりもない経歴の人が天下って老害をまき散らせば、子会社の生え抜き社員はやる気がなくなるためだ。頑張ってもトップにはなれない閉塞感も社内にまん延する。最近は就職活動をする学生にも敬遠される。

また、グループ経営にも悪影響が生じる。この種の社長は言うことを聞かない。時代に合わなくなった自分流のやり方にこだわったり、親会社への対抗心に燃えたりして、グループ全体の改革などに背を向ける。子会社社長のほうが先輩なので、親会社の後輩経営者は意見することができない。グループ内統治が効かない典型的な例となる。

さらに悩ましいのは、若手のマネジメントトレーニングの場を奪っていることだ。生きのいい次世代に経営の修羅場体験を積ませるという意味では、子会社社長は絶好のポジションなのだ。そこにこの種の社長が居座っている機会損失は計り知れない。

生え抜き社員を据えるのがベストだが、それが難しいならせめて将来の経営者となる人材の育成に役立てるポジションとしたい。

(首都大学東京大学院教授 松田千恵子)

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