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訪日客装い偽造カード持ち込み ブランド品詐取相次ぐ
中国系組織、IC式導入の遅れ突く

2017/9/5 2:30
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マレーシアから偽造クレジットカードを持ち込み、ブランド品をだまし取る事件の摘発が相次いでいる。中国系の組織がカード犯罪対策の遅れた日本に目をつけ、短期滞在査証(ビザ)の不要な国から集めた実行役を入国させる手口。インバウンド(訪日外国人)の受け入れが進むなか、偽造が難しいとされるICチップ付きカードの普及を求める声が強まる。

関西国際空港で押収された偽造カード(今年3月)

関西国際空港で2月、大阪府警が複数の偽造カードを国内に持ち込もうとしたマレーシア人の男を不正電磁的記録カード輸入の疑いで逮捕。カードには男の氏名が刻まれる一方、カード番号や有効期限などは第三者の個人情報が記録されていた。男は入国の目的について「カードで高級ブランド品を購入しようとしていた」と供述したという。

府警が8月末までに、偽造カードを持ち込んだり、商品を詐取したりしたなどとして摘発したマレーシア人らは20人以上。押収したスマートフォンには「まだ日本はICチップ付きクレジットカードへの移行が進んでいない。急いでもうけないと」とのメッセージが残っていた。

経済産業省などによると、カードには情報を磁気テープに保存する種類のほか、ICチップに記録するタイプもある。IC式のカードは情報を暗号化しているため、磁気式よりもカード情報を盗み取りにくいとされる。

IC式でのカード決済率(2016年12月~17年2月)は、欧州で99%、米国が47%である一方、日本は17%にとどまり、現在も磁気式が主流となっている。府警が摘発した事件で押収したカードは、いずれも磁気式。被害は東京などでも確認されており、同様に磁気式のカードが使われていた。

「店側は費用負担の面から、IC式に対応した読み取り端末の採用を敬遠しがち。不正使用された場合の補償もカード会社が行うため、積極的にならない」(府警幹部)

こうしたなか、昨年末、カードの取扱業者にIC式カードへの対応を義務付ける改正割賦販売法が成立。カード発行会社などでつくる「日本クレジット協会」は、20年までの全店舗導入を目標に掲げているが、店側が対応せずとも罰則規定はなく、どこまで普及が進むかは見通しが立たない。

情報セキュリティーの分野に詳しい岡村久道弁護士は「カード犯罪の手口は巧妙化が進み、安全対策の強化は急務。大手のカード会社が歩調を合わせ、磁気式からIC式への切り替えを一斉に進めるなど、思い切った対策が必要だ」としている。

■短期ビザ免除を悪用、マレーシアから入国多く 実行役ネット募集

一連の事件で大阪府警が摘発したマレーシア人らは多くが中国系の若者で、いずれもインターネット上に書き込まれた求人情報に応じる形で入国していた。府警はマレーシアに拠点を置く中国系の犯罪組織が背後にいたとみて捜査している。

捜査関係者によると、逮捕されたマレーシア人らの多くは、日本に入国し高級ブランド品を購入する前、いずれもネットで「無料で観光ができる」「高収入が得られる」といった書き込みを見ていた。

その後、書き込みをしたとみられる人物から対話アプリで、大きなキャリーバッグを買い、入国後は磁気式カードを使える百貨店や免税店を訪れたうえで、高級ブランドのカバンや時計を"爆買い"するよう指示を受けていたという。

外務省によると、中国人が日本に入国する場合、滞在期間や目的を問わずビザが必要だが、マレーシア人は2013年7月以降、短期滞在で活動が無報酬などであればビザは必要なくなった。府警は「犯罪組織が中国系のマレーシア人に観光客を装わせて犯行を続けてきた」(府警幹部)とみている。

これまでの調べでは、購入の実行役に示されていた報酬額は購入価格の1割前後。数百万円分のブランド品を買い、出国しようとしていたケースもあったという。

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