2018年4月25日(水)

空揚げ、卵焼き……盛り付けはロボ

2017/9/5 6:30
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 箱詰めロボットや制御用ソフトウエアを開発するスキューズ(京都市、川田成範社長)は年内に、総菜や弁当の盛り付けロボット用ハンドを発売する。5本の指を持ち、カメラやセンサーの情報をもとに空揚げや卵焼きを取りあげて容器に置く。現在は人間が盛り付けており、7兆円を超す中食市場の生産改革を後押しする。

関節を持った5本の指で空揚げ、だし巻き卵、握りずし、りんごなどをつかむ(写真は試作品)

関節を持った5本の指で空揚げ、だし巻き卵、握りずし、りんごなどをつかむ(写真は試作品)

 総菜や弁当の工場で現在稼働しているロボットの種類は、食材が盛り付けられた容器に蓋をしたり、完成した商品をコンテナに詰めたりするものが多い。ある総菜・弁当製造大手は「食材を盛り付けるロボットは聞いたことがない。業界ではまだ使われていないのではないか」とみる。

 新製品は人間の手のような形で、アームに取り付けて使う。関節のある指5本を備える。中は金属製だが、外側を樹脂カバーで覆い、食材を傷つけないようにする。

 形や硬さ、大きさが違う食材をひとつのロボットハンドでつかめる。空揚げ、だし巻き卵、握りずし、りんごや桃など果物をつかめる。うどん・パスタなど麺類、ひじき、もずく、納豆はつかめない。

 どんな食材でも、ロボット用ハンドは1種類で済む。生産ラインに、ひとつの食材につきひとつのロボットを担当させて、流れ作業でつくっていく。

 ロボット用ハンドには、人工知能(AI)の一種で、人間の脳をまねた構造でデータの特徴を自らとらえるディープラーニング(深層学習)の技術を組み合わせる。

 食材や盛り付けの画像をAIに大量に読み込ませる。大きさが異なる食材をバランス良く盛り付ける方法を学ぶ。

 ロボット用ハンドの指に取り付けたセンサーで、食材をつかんだ時の圧力データを学ぶ。様々な形や硬さ、大きさに合わせて食材が損傷しないよう最適なつかみ方を覚える。

 盛り付けたあと、すでに同社が販売しているロボットを使えば、容器に蓋をかぶせてラベルを貼ることまでできる。

 ただ、人間は必要だ。万が一、ロボットが生産ライン上で誤った作業をした場合のためにチェックする。井上哲也技術本部長は「人間と共存共栄できるロボットを目指す」と語る。1台当たり300万円を切る価格を目指している。

総菜や弁当の蓋を取り付けるロボットで実績がある

総菜や弁当の蓋を取り付けるロボットで実績がある

 食の安全・安心財団(東京・港)によると、コンビニエンスストア弁当や総菜など調理済み食品を自宅で食べる中食は、2016年の市場規模が15年と比べ6%増の7兆5414億円ある。

 中食需要の増加に対して、工場での人手の確保が課題になっていた。総菜や弁当の生産ラインでは通常、盛り付け担当の従業員を食材ごとに配置している。ひとつの弁当を完成させるのに、十数人を要するケースもある。

 工場では柔軟な人員配置が欠かせない。総菜や弁当の工場では、小売店からの受注の数が確定する前に予測値を立て、それに基づいて毎日、人員の配置を決めている。従業員は外国人や、年配の日本人が多いという。

 井上氏は「ロボットに代替できればコスト削減につながるとともに、柔軟で正確な作業が期待できる」と説明する。

 将来は自律走行の機能を付け加える考え。生産ラインの多くの設備は据え付け式で、設備を動かすのに長時間がかかる。人の足りない工程にすぐ移動できるロボットが目標だ。

 食材用のロボットハンドを改良し、他の業界にターゲットを広げる。

 例えば医薬品や化粧品の工場ではボトルのキャップを閉めたり、ボトルを紙の箱に入れたりするロボットの需要が大きいとみている。自動車メーカーでは、工場の棚にある多種類のパーツから必要なものを選び、組み立て工程の場所に運ぶ。農業では、深夜や早朝に自動で収穫するニーズがあるとみている。

 スキューズは1997年の設立で、コンビニ弁当の箱詰めロボットなどで実績がある。18年3月期の売上高は前期比2倍の10億円の見通し。

 電子部品実装設備や溶接ロボットのメーカーでパナソニック子会社のパナソニックスマートファクトリーソリューションズ(大阪府門真市、青田広幸社長)と今年7月、食品の自動加工システム開発で提携した。

(企業報道部 小田浩靖)

[日経産業新聞9月5日付]

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