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4年ぶり最多勝へ闘志 中央競馬調教師・角居勝彦(上)

2017/9/10 6:43
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 中央競馬で調教師の最多勝争いが白熱している。主役のひとりが現在、40勝で2位につける角居勝彦(53)だ。4勝差で1位を走る池江泰寿厩舎と、同じ日本中央競馬会(JRA)栗東トレーニング・センター(滋賀県栗東市)に籍を置く名門同士が競う。「最多勝を取りたい」と、角居は4年ぶりのタイトル獲得へ、静かに闘志を燃やす。

人馬双方を育てるのに適した「集団調教」を取り入れ、好成績を上げる

人馬双方を育てるのに適した「集団調教」を取り入れ、好成績を上げる

 2011、13年と、中央の最多勝を2度記録した。07年にはウオッカで牝馬で64年ぶりの日本ダービー制覇という偉業を達成。06年豪州・メルボルンカップ、11年ドバイ・ワールドカップなど、数々の海外のビッグレースも制した。これだけの実績を残してきた角居だが、ここ数年、最多勝争いは苦戦してきた。15年は34勝で15位、16年は43勝で6位にとどまった。

13週連続勝利を達成

 それが、今年は昨年1年間に迫る勝ち星を挙げ、好調さが際立っている。2月26日から5月21日にかけては13週連続勝利を達成。これは競走体系が大幅に刷新された1984年以降の最長記録である。

 好成績の裏にはもちろん、日々の地道な調教がある。角居厩舎の朝は早い。調教馬場が開場される2時間前にスタッフは厩舎に集まる。夏場の開場は午前5時だから始業は夜中。まず馬房の掃除や調教の準備を行い、その後、10分ほどの会議を行ってから、騎乗者が馬に乗ってトレセン内を1時間ほど歩かせる。馬場で調教した後も、馬のクールダウンに30~40分の時間を取る。他の厩舎と比べても、かなり長い時間をかけて、じっくりと運動をさせている。

 角居の調教にはひとつの特徴がある。01年の開業当初から、多くの馬が隊列を組んで行動する「集団調教」と呼ばれる方法を取り入れているのだ。

 いまでこそ一般的な手法となっているが、当時は美浦トレーニング・センター所属の名伯楽、藤沢和雄や、角居が調教助手時代に在籍した松田国英など限られた調教師しか採用していない先駆的なやり方だった。松田厩舎はもちろん、00年の調教師免許取得から開業までの間には、藤沢厩舎にも研修に出向いて学んだ。

 集団調教のメリットを角居はこう語る。「多くの馬と乗り手が一緒に動くため、それぞれがお互いの馬を見ることになる。多くの目で見ることで馬の疲れや故障に気付きやすくなる。他の人の乗り方を見てフォームなどを参考にすることもできる。厩舎スタッフの勉強にもなる」。馬にとっても同様の効果があるそうで「年長の馬がリードして歩くことで、後ろについていく若い馬は落ち着くし、歩き方を学ぶこともある。人馬双方を育てるのに適したスタイル」と言う。

 集団調教に象徴される「組織力」が、角居厩舎がトップの地位を確立する原動力となった。この基本を貫きつつ、角居は厩舎の運営手法の改善をいまも続ける。今年の好調も、あるマイナーチェンジの成果が表れているという。(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊9月4日掲載〕

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