5Gで訪れる「さりげない技術」の時代

スタートアップ
2017/9/1 6:30
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VentureBeat

インターネットが発達し始めたばかりで、ツイッターやモバイル端末のプッシュ通知のように時間や関心を吸い取る機能がまだ存在しなかった1996年。2人の先駆的なコンピューター科学者、マーク・ワイザー氏とジョン・シーリー・ブラウン氏が「カームテクノロジー(穏やかな技術)」という概念を生み出した。2人が思い描いたのは、あらゆるものに入り込んだコンピューターに囲まれた人間が情報を得る「ユビキタスコンピューティング」(今はこの時代に近づいている)の環境でも、テクノロジーが穏やかに振る舞うので「情報は得られるが、人間に集中や注意を求めてこない」世界だった。

(C)nitsawan katerattanakul/Shutterstock

(C)nitsawan katerattanakul/Shutterstock

■各所にある端末のおかげでスマホから解放

彼らの未来像は半分しか当たらなかったようだ(しかも正直に言って、極めて皮肉的だ)。だがほんの2~3年後には、彼らの想像通り、さりげなく支えてくれる世界に近づく可能性がある。そのきっかけとなるのが、より高速で安定した通信を実現することで、急成長する「IoT」を構成する数百万台の端末同士、ひいてはこうした端末の背後にいる人間同士を瞬時にスムーズにつなぐ「第5世代(5G)」通信だ。

当社(米デザイン事務所のマター)は長年、良いデザインを通じて人のつながりを深めることを目標に掲げ、リアルとデジタルの融合に取り組んできた。5Gの世界がどう展開するかは、今のデザイナーやエンジニア、ビジネスリーダーの手にかかっている。彼らはテクノロジーが人間の暮らしに及ぼす影響を改善したり、「穏やかに」したりできる端末やプログラムを開発し、消費者の支持を得る責任を担う。だがまずは、5Gの素晴らしい可能性を認識し、人間とテクノロジーの関わり方について先入観にとらわれることなく積極的に考えなくてはならない。

反直感的に思えるかもしれないが、当社は5Gネットワークにより、テクノロジーにさらに関心を奪われるどころか、人間同士のつながりが深まる未来を想定している。至るところに組み込まれた端末のおかげで人間はスマートフォン(スマホ)から解放され、「顔を上げたままで」デジタル世界につながっていられるようになるからだ。テレビ電話では小さな画面の周りに集まるのではなく、画面を壁に映し出し、その場にいる全員に見せることができる。情報を調べるために夕食を中断しなくても、既に急速に進化しつつある音声認識機能がすぐさま自発的に答えてくれる。

■人々の習慣や文化も変化を迫られる

「カームテクノロジー」への移行に伴い、端末に応じてつくり出された習慣や文化も何らかの変化を迫られる。例えば、自宅のスマートホーム制御がスマホではなく環境に応じて作動し、部屋から部屋への移動についてくるようになれば、スマホに注意を奪われる機会が1つ減るだろう。長年の習慣はなかなか断ち切れないが、人間は本来、お互いや周りの世界ともっとつながっていたい生き物だ。このため、デザイナーやブランド各社は、スマホやパソコンだけで済ませている行為の一部を周りの世界に引き出せば、暮らしがどれほど豊かになるかを示すだけでよい。

By Adam Leonards(マターのクリエーティブディレクター)

(最新テクノロジーを扱う米国のオンラインメディア「ベンチャービート」から転載)

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