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EV電池新素材 量産 大阪ソーダ、30億円投じ新工場
カーボンナノチューブ、小型大容量化に寄与

2017/8/30 2:00
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大阪ソーダは電気自動車(EV)に搭載するリチウムイオン電池などに使うカーボンナノチューブ(CNT)の製造を始める。2019年8月までに30億円前後を投じて国内に工場を建設。名城大学発のスタートアップ企業の技術を使い、電池の小型大容量化につながる高機能型を量産する。主力の基礎化学品が伸び悩むなか、成長分野に参入する。

大阪ソーダは兵庫県尼崎市、北九州市、松山市などに工場を持つ。いずれかの工場に併設する計画で、場所は今後詰める。生産量はまず年間2~3トンを計画している。

CNTは炭素を主原料とする次世代素材で、EVに搭載されるリチウムイオン電池の電極材に活用されるほか、航空機の機体や人工衛星などにも活用が見込まれる。

CNTにはすでに実用化されている多層型と、付加価値の高い単層型があるが、大阪ソーダはこのうち単層型の生産を手掛ける。現時点で単層型の量産工場は日本ゼオンの徳山工場(山口県周南市)のみという。

単層型は純度が高いため多層型よりも電気を通しやすく、熱伝導性が高い。リチウムイオン電池の電極材に使えば、多層型に比べて小型大容量の電池をつくることが可能になる。ただ生産に必要な温度や圧力など細かい環境を整えることが難しいことなどから、製造コストがかさむのが弱点になっていた。

大阪ソーダはCNTの量産技術に強い名城大学発のスタートアップ企業、名城ナノカーボン(名古屋市、橋本剛社長)と組み、工場での量産化に必要なデータ取得を進めており、プラントで製造する方法にめどを付けた。販売価格などは未定だが、製造コストの削減にも取り組んでいく。

大阪ソーダの17年3月期の連結売上高は935億円、経常利益は65億円。樹脂や塗料などに幅広く使うカセイソーダ(水酸化ナトリウム)など基礎化学品が主力だが、市場は成熟しており、大きな伸びは見込みにくい。機能化学品やヘルスケアなど新分野の開拓を進めている。

EV拡大、関西企業に商機

電気自動車(EV)市場が拡大する中、関西の製造業に商機が広がっている。パナソニックやGSユアサなど電池本体を手掛けるメーカーはもちろん、関西に集積する素材メーカーにとっても潜在市場は大きい。

EVは加速時などに備え、電気をため込んで一気に流す仕組みが必要だ。効率よく充放電するために、電池に使う電極材料などで化学メーカーの有機材料技術が求められるほか、電池に使う部材などでも関連メーカーの参入が進んでいる。

カネカは2016年に愛知工業大学と共同で100倍以上高速に充電できるリチウムイオン電池を開発した。電極に独自開発の有機材料を採用。カーボンナノチューブを混ぜているのが特長だ。ため込める電子の数が多く、効率よく充放電できるようになる。5年以内の実用化を目指す。

ダイセルはEV向けにポリブチレンテレフタレートと呼ばれる樹脂を、給電コネクターに使う素材として売り込んでいる。これまで自動車のドアミラーなどに使う素材として供給していた。

単層型のカーボンナノチューブ

単層型のカーボンナノチューブ

 ▼カーボンナノチューブとは 名城大学終身教授の飯島澄男氏(78)が1991年に発見した炭素材料。直径は数ナノ(ナノは10億分の1)メートル程度。電気を通しやすく、熱伝導率も高い。一層のシート状の炭素分子を筒状に丸めた単層型と、チューブが同心円状に複数重なった多層型の2つがある。

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