2017年11月22日(水)

IT巨人、テレビ参入 戦場は「手元」

The Economist
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2017/8/29 18:17
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The Economist

 8月27日、米大手ケーブルテレビ局HBOの大人気ファンタジードラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン最終回が1千万人以上の米国人に向けて放送された(編集注、原文は未来形)。テレビ史上、最も制作費が高いシリーズの一つに数えられる番組だ。この放送後、視聴者は今度は識者や専門家たちがこのHBOの話題作についてあれこれと話し合う「トーク・ザ・スローンズ」を見ることができる。こちらの番組は、制作費の安さでは業界屈指の部類に入るが、その視聴者数は数十万人に上るだろうと予想されている。

 この2つの番組の娯楽としての価値の差は明白だ(前者はCGを駆使した本物顔負けのドラゴンが登場するが、後者はそのドラゴンについて議論する人が登場するだけだからだ)。だが、両シリーズ番組にはもう一つ、明確な違いがある。ゲーム・オブ・スローンズは有料テレビ局の加入者しか視聴できないが、トーク・ザ・スローンズは誰でも見ることができる。というのも、後者は米通信大手のベライゾン・コミュニケーションズがスポンサーとなって、「ザ・リンガー」というウェブサイトが制作した番組で、ツイッター上で無料配信されているからだ。確かに人気はHBOの番組の方が高いが、テレビ業界が今後どう進化していくのかを知りたいのであれば、トーク・ザ・スローンズの方が参考になるかもしれない。

 新世代のテレビ番組とは、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末といったインターネットに接続された画面で見ることを前提に制作された番組を指す。ネット動画配信大手の米ネットフリックスと米アマゾン・ドット・コムは、既にこうした番組制作事業をしばらく前から進めている。しかし、ここへきて他の技術系企業も同事業に参入しており、新たなシリーズに大金をつぎ込み、様々なタイプの番組作りを試している。

■フェイスブック、テレビ番組を配信

 世界最大の交流サイト(SNS)、フェイスブック(FB)は今月、同社のスマホ向けなどのアプリに「ウオッチ」という新しいタブを設け、一部の利用者を対象にテレビ番組を配信し始めた。FBが流す番組は近く、同社の利用者に広く公開される見込みだ。

 同社のプラットフォームでは、米大リーグの野球やメキシコサッカーなどの試合をネットを用いて生中継で届けるストリーミング配信をしている。

 米ツイッターは5月、今よりさらにスポーツの生中継や他の配信コンテンツを充実させるため、新たに契約を複数結んだと発表した。具体的には、米通信大手ブルームバーグのニュース動画の24時間配信や米ニュースサイト「バズフィード」と組んだモーニングショーの提供、そして米ロサンゼルスの番組制作会社プロパゲート・コンテントが作り毎日流しているエンターテインメント番組「#ホワッツハプニング」を提供していくという。

 写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップも、若い利用者を対象にした短編の番組数本の制作を外部に発注している。

 新しいシリーズ番組の多くは制作コストが安い。アクション場面満載の1時間番組ゲーム・オブ・スローンズは制作費が1話当たり最大2000万ドル(約21億8000万円)に上るのに対し、新世代の番組は数万ドルで済む。しかし、今後はもっと多額の資金を投じたアプリ向けの番組が登場してくる。

■アップル、番組制作に最大10億ドル

 米アップルは最近、ソニーのテレビ部門から幹部2人を引き抜き、テレビ番組制作に最大10億ドルを投じる計画だと報じられている。FBも自社にとって協力者となりそうなハリウッドの人材に対して、今後制作する新シリーズには番組1分当たり最大10万ドルを投じる用意があるとの意向を示している。グーグル傘下のユーチューブは既にソーシャルメディア上のスターを取り上げる番組にかなり投資しており、今後、もっと主流の番組として注目を集めるような作品を制作する計画だ。

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