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ハリルJ、FW3人が鍵 W杯出場かけ31日に豪州戦

サッカージャーナリスト 大住良之

ワールドカップ6大会連続出場へ向けて、バヒド・ハリルホジッチ監督率いるサッカーの日本代表は正念場を迎える。31日午後7時35分に埼玉スタジアムでキックオフされるオーストラリア戦だ。

昨年9月にスタートしたアジア最終予選も残り2節。31日を中心とした第9節と、9月5日の第10節。日本は第10節にサウジアラビア西部のジッダでサウジと対戦する。

2006年にイビチャ・オシム氏が日本代表監督に就任した直後、やはり9月上旬に同じジッダでアジア・カップ予選を戦ったことがある。紅海に面し、湿度が高い。夜になっても気温は34度、湿度は60%もあった。座っているだけでもだらだらと汗が流れ、不快極まりないコンディションだった。この暑さのなか、日本代表は奮闘したが、0-1で敗れた。日本のサッカーは個の強さで勝負するのではなく、攻守ともチームプレーが鍵となる。必然的に豊富な運動量を必要とする。このコンディションで日本のサッカーをするのは極めて難しいといわなければならない。

<残りの主要日程>
8月29日UAEvsサウジ
31日日本vs豪州
9月5日サウジvs日本
5日豪州vsタイ

現在勝ち点17で首位にいる日本だが、2位以内に入って出場権を獲得するには、残りの2試合のうち1つには勝たなければならない。ジッダでサウジに勝つことが難しいとなれば、埼スタでオーストラリアに勝たなければならない。第9節にはサウジがアラブ首長国連邦(UAE)と対戦し、最終節にはオーストラリアが最下位のタイと当たる。日本が2分けの場合、サウジもオーストラリアも1勝1分けとなる可能性が高く、日本は3位に沈む。そうなるとA組3位(ウズベキスタンか?)とのプレーオフを経て北中米カリブ海地区4位との最終プレーオフまで勝ち抜かないと、ワールドカップ出場権を逃すことになる。

通常より4人多い27人招集

24日、その2戦に向けてハリルホジッチ監督が発表したメンバーは驚きだった。通常なら23人のところに、何と27人もの選手を招集することにしたのだ。

24日、日本代表メンバーを発表するハリルホジッチ監督=共同

ワールドカップ予選で試合ごとに登録できるのは23人。うち3人はGKでなければならない。フィールドプレーヤーは20人。各ポジションに2人ずつということになる。しかし今回は10のポジションに24人が呼ばれたのだ。(当然、試合の日にはベンチにも入れず、スタンドから観戦する選手が4人いることになる)。なかでも、3つのポジションがあると考えられるFWには、各ポジションに3人ずつの9人もが選ばれた。

なぜこんなに多いのか。ケガから復帰したばかりの選手、所属クラブで出場機会が少ない選手らに不安要素があり、見極めきれなかったためだ。MF香川真司、FW本田圭佑、そしてFW大迫勇也の3人である。復帰したばかりの香川は短時間しかプレーしておらず、移籍したばかりで故障もあった本田も1試合に交代出場しただけ。7月末に右足首を痛めた大迫は練習を始めたばかりだ。

そもそも今回の最終予選で苦しむことになった最大の要因は、昨年9月の初戦、ホームでのUAE戦を1-2で落としたことだった。「欧州組が試合に出ていない。コンディションが悪すぎる」と嘆きながらも、ハリルホジッチ監督は、当時は所属クラブで出場機会に恵まれていなかったにもかかわらず、日本代表では絶大な実績を誇るMF香川、FW本田、そしてFW岡崎慎司を起用し、スピード感のない攻撃で自滅した。

10月の第3節オーストラリア戦まで同じように不安定な試合を続けていた日本代表が復活の兆しをみせたのはようやく11月になって香川、本田、岡崎の3人を思い切って先発から外し、MF原口元気、FW大迫、FW久保裕也といった伸び盛りの若手を起用してからだった。

ただ現在、原口は出場機会に恵まれず、大迫はケガから復帰したばかり、久保は不調という状況。ここでハリルホジッチ監督は再び香川、本田、岡崎への「依存」に立ち戻ってしまった。それが今回の「27人」の実態である。ただし香川や本田と違い、岡崎はイングランドのプレミアリーグで開幕から2試合連続得点と波に乗っている。

GKは川島永嗣を中心に3人。DFは右から酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都という6月と同じメンバーになることが有力で、それぞれのポジションに1人ずつ交代要員がいる。

今回のメンバーで唯一明るい材料はMF長谷部誠がようやく負傷から復帰し、ブンデスリーガ開幕戦でも活躍したことだろう。攻守の要であるキャプテンの復帰は、メンタル面でのプラスも大きい。

中盤は長谷部を軸に、イラク戦で活躍した若手の井手口陽介、もう一人はスペインで評価急上昇の柴崎岳が有力。4-3-3のシステムなら長谷部が「アンカー」でその前に井手口と柴崎が並び、4-2-3-1システムなら長谷部と井手口がボランチに並び、「トップ下」に柴崎が入ることになるだろうか。

「コンディションが大事」どこへ

ただ、ハリルホジッチ監督は香川への執着を捨てきれず、今回も招集した。FW以外で「1ポジションに3人」がまさに香川がプレーする「攻撃的MF」で、もし香川のコンディションがレベルに達していないと判断せざるをえなかったときのためにオランダでプレーする小林祐希を呼んでいる。

だが、何より現在の混乱を象徴しているのが「各ポジションに3人」のFWだ。右サイドの候補には本田、久保、浅野拓磨、左サイドには乾貴士、武藤嘉紀、原口、そして中央には岡崎、大迫、そして杉本健勇。「代表招集までに3試合はプレーしていること」という自らつくった原則を曲げ、本田の圧倒的な実績と、昨年来の大迫のプレーに引っぱられた形だ。

「何よりコンディションが大事」と、メンバー発表の席でハリルホジッチ監督は何度も強調した。しかし選んだメンバーは、特にFWはその基準とは大きくかけ離れたものになっている。

FWというのは、他のポジションと比較にならないほど波がある。得点を挙げるためには非常に繊細で研ぎ澄まされた感覚が必要で、その感覚がぴたっと合うと次々と得点を重ねることができるが、少し狂うと何試合も得点から遠ざかってしまう。代表監督は「いま誰が旬か」を見極め、そうした波に乗っている選手を使いながら結果を出していかなければならない。

FWはJリーグから唯一、杉本が選ばれた=共同

金崎夢生、小林悠、斎藤学……。Jリーグには現在好調なプレーを続けている(当然日本の暑さにも慣れている)ストライカーたちがいる。彼らは日本代表としての経験もある。それでもケガから復帰したばかりや試合をこなしていない「海外組」のほうが上だというのだろうか。

今回はJリーグから唯一、杉本が選ばれた(他の8人はすべて海外組)が、「序列」としては大迫が使えない場合には岡崎が出場し、その交代要員という形だろうか。短時間でも大迫を使いたいと思ったときには、杉本はスタンドから試合を見るという運命である。

どう豪州の堅守こじ開けるか

長谷部の復帰、柴崎の成長で中盤までのめどはほぼ立ったようだが、FWの3人をどうするかは完全に混沌とした状態だ。

オーストラリア戦、サウジ戦へ向けての合宿は27日にスタートし、欧州組がすべてそろうのは29日になるという。試合までわずか2日間しかない。そうしたなかで、9人のFWから本当にベストのコンディションにある3人を選ぶことができるのか――。

ワールドカップ出場の命運を握るオーストラリア戦。その堅守をこじ開けて得点を取らなければ、勝利は手に入らない。最終2節、コンディションの悪い選手の経験や実績にかける余裕はない。

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