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売れる化学品 潮目読む 馬居化成工業、高級入浴剤で個人開拓

2017/8/25 2:30
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 製塩業から化学品製造、そして入浴剤など独自ブランド開発へ――。慶長4年(1599年)創業で徳島県鳴門市に本社を置く馬居(うまい)化成工業が新分野の開拓に挑んでいる。医薬品などに使う硫酸マグネシウムの製造では国内最大手。危機に応じて姿を変え、生き残ってきたDNAは今も息づいている。

おしゃれなパッケージの入浴剤を販売する(東京・北青山の直営店「NEHAN TOKYO」)
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おしゃれなパッケージの入浴剤を販売する(東京・北青山の直営店「NEHAN TOKYO」)

■主婦の声が契機

 ファッションに敏感な若者や外国人が行き交う東京・北青山。青山通りの裏手に、馬居化成工業の直営店「NEHAN TOKYO(ネハントウキョウ)」が立つ。

 扱うのは独自ブランドの高級入浴剤「エプソルト」などだ。肌に潤いを与える保湿効果などがあるとされる硫酸マグネシウムを原料に使い、高級感のあるパッケージに入れて販売している。中には1回分で1500円(税別)の高額品もある。「誕生日や送別会などのギフト向けに購入していく人が多い」(営業の石上智晴さん)という。

 同社は医薬品や栄養食品、化粧品に使う、精製された硫酸マグネシウムで5割超の国内シェアを持つ。消費者向けの入浴剤に参入したのは、主婦から「硫酸マグネシウムを少量分けてくれないか」との問い合わせを受けたのがきっかけだ。調べたところ、欧米では「エプソムソルト」という名称でハリウッドのセレブも入浴剤として愛用していることがわかった。

 1年半あまり開発を進めて2014年に発売し15年に直営店を出した。「青山に店を構えることでPRしやすくなった」と15代目トップの馬居正治社長は語る。フォーシーズンズホテル丸の内東京(東京・千代田)や伊勢丹新宿店(東京・新宿)でも取り扱いが始まった。

■商社部門に人脈

 同社はメーカーであるとともに100種類を超える化学品を扱う専門商社の顔を持つ。年間売上高約40億円強のうち7割強は商社業だ。「利益の寄与度は製造部門の方が高いが、人脈を広げ顧客ニーズを把握するのに商社部門は貢献している」と馬居社長は強調する。

 そうして生まれた商品の一つが02年に発売した乳牛向け消毒剤「シルキーディップ」だ。「国産の消毒剤ができないか」との声がヒントになり、畜産分野の自社商品につながった。今年には橋梁など公共インフラの寿命を延ばしたいという要望に応え、塗布することでコンクリート劣化を防げる補強材を発売した。

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 「新しい事業を常に開拓しなければならない」。同社を変革に突き動かすのが環境変化への危機感だ。業務用製品は技術革新などでニーズが目まぐるしく移り変わる。馬居社長もそうしたピンチを体験してきた。

 同社ではトンネル工事などに使う地盤硬化剤が主力の一つだった。これを必要としない新工法が広まると発注が途絶え、数億円の売上高が吹き飛んだ。00年代に手掛けていた2次電池向け原料も、供給先が海外勢との競争に敗れると販売がしぼんでいった。

 歴史をひもとけば同社の歩みは苦難の連続だった。1905年に塩が国の専売制に移行すると、塩の副産物である「にがり」の販売に乗り出す。にがりを使った化学品製造にも参入したが、戦後に製塩技術が切り替わり、にがりが入手できなくなる。60年代に硫酸マグネシウムを化学的に合成する技術を確立し、樹脂製造向けに供給したことで軌道に乗った。

 「自社ブランドを浸透させるのが目標」と馬居社長。顧客のニーズに耳を傾けつつ自社製品の割合を増やし、柔軟で強固な経営体質を目指す。

(徳島支局長 畠山周平)

■鳴門の製塩が出発点

 製塩業を興そうと考えた阿波藩主の蜂須賀家政が播磨の技術者、馬居七郎兵衛を鳴門に招いたのがルーツ。製塩業は鳴門に根付き、塩は阿波藩の主要産品となった。1900年代に製塩業は衰退するが、同家は様々な事業に参入して生き残った。

 46年に製造を始めた硫酸マグネシウムで国内シェアトップ。独自の結晶化技術で「99.99%」の高純度製品を製造できる。点滴や栄養食品といったミネラル源のほか、入浴剤などにも使われている。

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