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瀬戸内寂聴 情と恋描く 祇園と文学(4)
軌跡

2017/8/24 17:00
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京都・嵯峨野に寺院「寂庵」を開く僧侶で作家の瀬戸内寂聴も、祇園に取材した作品を手掛けた。「瀬戸内晴美」の筆名時代に日本経済新聞に連載(1971年8月~72年9月)した「京まんだら」では、京都の四季を背景に、祇園に生きる女たちの情と恋を描いた。

同作の舞台にしたお茶屋「竹乃家」のモデルは「みの家」。先代女将の吉村千万子は「芙佐」、先代の娘で当代女将の薫は「稚子」として登場する。

薫は69年のおおみそかを鮮明に覚えている。先代女将が「みの家」とともに、清水寺の参道の三年坂で経営していた宿に、寂聴は女性画家たちを伴って訪れた。

寂聴らは先代女将を交え、夜っぴて飲みながら談笑。この時、寂聴の問いかけに応じ、先代女将は「甘粕事件」の首謀者、甘粕正彦からの手紙を披露した。

甘粕の手紙は、先代女将が「みの家」を再興したことを祝うもの。日本が中国東北部につくった傀儡(かいらい)国「満州国」の首都から届いていた。日付は3月17日とあるが、年の表記はなく、戦中の43年か44年とみられるという。

このおおみそかの模様は、「京まんだら」の冒頭に取り入れられ、登場人物に甘粕のことを「大杉栄を殺した、憲兵のあれ?」と語らせる。寂聴は甘粕事件で虐殺された大杉栄と伊藤野枝を題材にした「美は乱調にあり」を書いている。甘粕の手紙を見て複雑な思いを抱いたのだろう。

そもそも、寂聴と先代女将の縁は長編小説「女徳」の執筆がきっかけ。同作のモデル、京都・祇王寺の高岡智照尼の紹介で「色徳」のモデルの祇園に通じた中島六兵衛を知る。その中島から先代女将を紹介されたという。(敬称略)

=この項おわり

次回は「医療産業 神戸で育つ」

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