トップ > 特集 > 関西発 > もっと関西 > 記事

関西発

フォローする

11月6日の電子版のリニューアルに伴い、特集「関西発」は「地域」セクションに移りました。「関西発」のコンテンツは「地域」セクションの「関西」でご覧頂けます。

もっと関西 「狩りガール」急増のワケは?(とことんサーチ)
ジビエ好きやねん!! 鳥獣被害 駆り立てる使命感

2017/8/22 17:00
保存
共有
印刷
その他

「山ガール」「カメラ女子」――。女性を中心とした趣味のブームで様々な新語が生まれるなか、関西で最近、「狩りガール」と呼ばれる女性ハンターが話題を集めている。男性中心と思われがちな狩猟の現場に、なぜか続々と女性が集まっているという。いったい何が彼女たちを狩りに駆り立てるのか。背景を探ってみた。

鳥獣の狩りをするには国家資格の「狩猟免許」を取る必要がある。環境省などによると、近畿2府4県で2014年度に取得した女性は計413人と04年度に比べて2.6倍に拡大。中でも兵庫県は全国3位の153人で10年前の5.3倍、大阪府も同4.0倍の89人が取得しており、急増ぶりが目立つ。全国でも14年度に3218人(同2.6倍)の女性が免許を取った。

女性がなぜハンターを目指すのか。大阪府猟友会(大阪市)が免許取得の希望者向け講習会を開いていると聞き、8月上旬、大阪市内の会場を訪ねた。参加者139人中、女性は7人。同会の田中茂雄事務局長(75)は「女性がこんなに増えるとは、当時は想像できなかった」と驚く。

講習会に参加した大阪府茨木市の主婦、森川ひとみさん(36)は、猟師の友人に誘われて山に入り、獲物の解体に立ち会ったのをきっかけに狩りのとりこになった。「自分の手でシカやイノシシをさばき、おいしく、大事に食べてあげたい」と語る。大阪市の会社員、西村佳奈子さん(33)も「ジビエ肉のおいしさに魅了された」ことが動機だ。

畑が鳥獣に荒らされて困っているという和歌山県有田川町の主婦、林亜也さん(22)は「免許を取ったら、祖母の畑を荒らすイノシシを駆除したい」と話す。すでに山で活躍している吉備国際大(兵庫県南あわじ市)狩猟サークル所属の阪上綾香さん(20)は、網ワナを仕掛けてイノシシなどを捕獲。「イベントなどでジビエを振る舞い喜んでもらうのがうれしい」という。

女性が狩猟に参入しやすい環境も広がってきた。鹿肉料理研究家の女性が13年に開いた兵庫県宝塚市の「愛deer料理教室」は全国でも珍しい鹿肉料理教室。教室参加を契機に狩猟を始めた女性もいる。和歌山県のNPOは15年から初心者も対象の狩猟体験を企画。京都府は今年6月、丹波地方のジビエ肉認証制度「京都中丹認証ジビエ」を新設、ジビエ活用を進める。

ハンターの高齢化で鳥獣駆除の担い手は減っており、猟友会などは幅広い層の取り込みに躍起だ。大阪府猟友会は全国に先駆け、16年に若手ハンター養成講座を開講。先輩ハンターが講義や実技を通じて知識を伝える。女性ハンターで作るサークル「たんぽぽの会」も結成、サークル内での射撃会などを開いている。

行政も後押しに一役買う。和歌山県は、有害鳥獣駆除の捕獲員になることを条件に初心者講習会の受講料(上限1万7千円)を全額補助。神戸市も同様の条件で免許取得にかかる受験料など最高8万5千円を補助する。兵庫県は平日に行っていた試験を休日に変更、受験者拡大を図る。

仏教大の八木透教授(民俗学)は「関西は住宅地と山の境界が曖昧で、もともと狩猟に親しみやすい環境がある」と指摘。兵庫・丹波篠山のぼたん鍋や奈良・吉野地方の鹿肉など、野生動物を取って食べる文化が根付いている上、「関西の女性は積極性があり行動的な人が多いと言われることも、女性ハンター増加の背景にあるのでは」とみる。

まもなく秋の狩猟シーズンが始まる。関西の山々で狩りに挑む女性ハンターの姿が、これまで以上に増えるかもしれない。

(大阪社会部 佐藤未乃里)

関西発をMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

電子版トップ特集トップ