鉄道の災害復旧、黒字会社にも国が補助へ

2017/8/19 6:00
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日経コンストラクション

自民党は鉄道の災害復旧に関して、路線の収支が赤字であれば事業者の経営が黒字でも国が補助できるように、鉄道軌道整備法を改正する方針を固めた。2017年8月1日に党本部で開いた国土交通部会で改正案を承認した。2011年7月の新潟・福島豪雨で被災したJR只見線を最初の補助対象として想定している。

2011年の新潟・福島豪雨で桁が流失したJR只見線の第7只見川橋りょう。11年8月に撮影(写真:福島県)

2011年の新潟・福島豪雨で桁が流失したJR只見線の第7只見川橋りょう。11年8月に撮影(写真:福島県)

国が現行法に基づいて災害復旧を補助できるのは、過去3年にわたって経営が赤字などの要件を満たす事業者が運営することが条件。さらに、それまで収支が赤字か、黒字であっても復旧費の負担を含めると赤字に転じる見込みの路線に限られる。

自民党が承認した改正案では、事業者が黒字でも路線が過去3年間赤字ならば補助の対象とする。補助割合は4分の1以下が原則だが、地域の交通事情などを考慮して国土交通省が補助拡大の必要性を認めた場合は3分の1以下に引き上げる。関係自治体が国と同額の補助を行う点は、赤字事業者の路線と同様だ。

■制度乱用の歯止めも

赤字路線に対する安易な補助申請を防ぐため、改正案には鉄道事業者に対し、被災前よりも収支を改善して長期的な運行を確保する計画を作成するよう求める規定を盛り込んでいる。

自民党で同法改正を主導している「赤字ローカル線の災害復旧等を支援する議員連盟」の菅家一郎衆院議員は、「秋の臨時国会への法案提出を目指して、公明党など他党との協議も進めていく」と話す。

■只見線復旧のもう1つの新手法

自民党が法改正後の補助対象として想定するのは、JR只見線の中ほどに位置し、現在は代行バスが走る会津川口─只見間(延長約28km)。関係自治体の福島県は、改正案が同党国土交通部会で承認されたことを、「只見線の早期復旧に向けた大きな一歩」(生活交通課)と歓迎している。

新潟・福島豪雨で第5~第7只見川橋りょうが流失するなどの被害があった同区間の復旧に、JR東日本は81億円の費用と3年の工期を見込んでいる。被災前から収支が悪化していたので、以前はバス路線に転換する方針を示していた。

福島県はあくまでも鉄道として復旧させるため、JRに上下分離方式の導入を提案し、合意を得た。復旧後の鉄道施設をJRから譲り受け、維持管理を担う。只見線は同区間に限り、公設民営になる。

国交省によると、JRの在来線で上下分離方式となっている区間は、主要空港へのアクセス路線である成田線と関西空港線のそれぞれ一部だけで、ローカル線では只見線が初めてとなる。

(日経コンストラクション 安藤剛)

[日経コンストラクションWeb版 2017年8月18日掲載]

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