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球場が呼んでいる(田尾安志)

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懐かしの夏場の遠征 タフガイだけが乗り切れる

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2017/8/20 6:30
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夏の高校野球を見ていると、炎天下でプレーする球児の皆さんはつくづく大変だと思う。試合数が格段に多いプロにとってもしんどい季節だが、ドーム球場が増えた今はナイトゲーム前の練習を強い日差しの下で行う機会が少ない分、ひところより負担は軽くなっている。本拠地の甲子園球場を高校野球に開放する8月の阪神はかつて「死のロード」と呼ばれる長期遠征に出たが、近年は涼しい京セラドーム大阪で主催試合を行えるようになり、すっかり死語になった。

ドームがなかったころ、夏場をどう乗り切るかは今にも増して大きなテーマだった。暑いさなかの戦いが続くと、結果どうこうより「この試合を何とか乗り切ろう」と思うのが精いっぱいという時期があった。

炎天下でプレーする球児はつくづく大変だと思う=共同

炎天下でプレーする球児はつくづく大変だと思う=共同

そこで思わぬご褒美があると救われる思いがした。覚えているのが岡山での試合。名産の白桃があまりにおいしくて、試合前に5つ食べたことがある。「今日は打てなくても桃が食べられたからいいや」とその時点で満足したが、力みが抜けたことで試合の成績はよかった気がする。

相部屋当たり前、8人部屋も

私は夏場でも食欲が落ちることはあまりなく、睡眠さえしっかり取ればプレーに影響することはなかった。問題は遠征のとき。高級ホテルの個室に泊まる今と違って、昔は旅館やビジネスホテルで2~3人が同じ部屋に泊まるのが当たり前だった。ビジネスホテルといってもベッドを置いたらもう部屋がいっぱい、というのが関の山で、あまりお金を使っていなかったと思う。だから、あの当時の球団が一番もうかったのではないか。選手の年俸は安いし、お客さんは入っていたし。

相部屋では多いときで8人部屋というのがあった。同部屋の選手が早く寝る人ばかりならいいが、そうもいかない。中日時代に広島で8人部屋に泊まったときのこと。ナイトゲームの前に午前の2軍戦にも出ることになっていて夜寝ていると、堂上照さん(堂上剛裕=巨人=、直倫=中日=の父)に「こんな時間になに寝てるんだ」と起こされた。こんな時間、といっても夜中の2時ごろ。1軍のナイトゲームにだけ出る堂上さんからすれば宵の口だったのだろうが、さすがに参った。

主に1軍のレギュラーでない若手が2軍戦と1軍戦の両方に出る「親子ゲーム」。今でこそ、夜の1軍の試合に備えて2軍戦は途中で退くなどの配慮がなされるが、私の現役時代は練習を全てこなし、試合はフル出場。グラウンドに13時間以上いることもざらだった。1軍の試合中に眠くなるほど疲れたから、宿舎で寝られるかどうかは死活問題だった。仲間がマージャンでわいわいやっている横で眠るなど、野球だけでなく睡眠の技術を身につけることも大切だった。

大ベテランでさえも危機感

昔はいくら暑くても、けがをしない限り試合を休むことはなかった。大ベテランでさえ休めばその間に他の選手にポジションを奪われるという危機感があり、首脳陣を含め休養という発想自体なかった。今は長期の連戦になったり、暑くなったりするとベテランに休養を与えるチームが多い。ドームが増えたとはいえ、勝つ確率を上げるには適度に休ませるのが効果的、という考えがファンの間にも浸透している。今となっては13時間もグラウンドにいる発想がなくなった。

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