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富士通、ITでバスケ強化 AIがコーチ補佐

IT(情報技術)業界が新ビジネスの開拓分野と期待するスポーツで、富士通のシステムが実用段階に近づいている。同社は自社の女子バスケットボールチームの強化に画像認識技術を使う。カメラと人工知能(AI)で選手やボールを追跡して分析。指導やゲームプラン策定に生かす。自社チームで精度を高め、2018年度に外部へ販売することを目指す。

富士通の女子バスケチーム「レッドウェーブ」が本拠地とする川崎市の体育館。コートをぐるりと囲むように、8台のカメラが天井に設置されている。カメラは試合中の選手全員を追いかけ、フォーメーションやシュートを認識して自動で記録する。

パソコン画面にはシュートの成功・失敗が分布図で表示される。成功や失敗のそれぞれのポイントをクリックすると、シュート場面の映像を再生する。選手ごとの成功率や失敗率の高い位置などの分析も可能だ。

バスケの試合内容は目視して記録するのが一般的だ。自動追跡システムを取りいれたことで、レッドウェーブのコーチは選手の動きを正確に把握できるようになった。選手一人ひとりの動きをデータとして蓄積しているため、うまく攻撃できた場面などの映像を一瞬で探して指導に使える。

レッドウェーブにシステムを試験導入した15年末から、富士通はスポーツ向けの技術として開発に取り組んできた。ベースとなったのは自動車のナンバープレートを認識する技術。スポーツでは選手の背番号をとらえて動線を追跡する。

スポーツ・文化イベントビジネス推進本部の保田益男VPは「選手のスピードが速く、接触プレーもある。バスケ特有の問題が多かった」と振り返る。ゴール下の床やユニホーム、ボールの色が似ているため、システムが認識しにくいところも壁となった。

そこで取りいれたのがAIの一種である機械学習だ。選手とボールの画像を大量に読みこんで特徴を学習させ、対象を区別する精度を高めた。バスケ特有の動作を計算に取りいれるなど、2年近く改良を重ねた。18年度の実用化が見えてきたといい、他のバスケチームに導入を呼びかける。

日本のバスケ界は16年に男子プロリーグ「Bリーグ」が発足した。富士通は16年9月、日本バスケットボール協会(JBA)などとパートナー契約を結んだ。選手の情報を一括で管理するデータベースを開発している。好きな選手を切りだして追いかけられる観客向けの映像システムなども実用化を目指す。

富士通は20年の東京五輪開催を受け、競技支援やイベント運営へのIT活用ニーズが高まるとみている。同社は3次元画像で選手をとらえ、自動で技の難易度を判定するシステムも日本体操協会と共同開発している。バスケのシステムはバレーボールやハンドボールなどの競技にも応用する方針で、スポーツ関連ビジネスを成長させる。

(薬文江)

[日経産業新聞 2017年8月10日付]

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