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5年連続で業績回復 地方競馬の真の復活条件

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2017/8/12 6:30
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南関東4場は規模が大きい分、小規模主催者に比べ伸び率は目立たないが、主要レースが好調。昨年11月3日、川崎は1日に3つのG1級競走を行うJBCを開催し、地方の1日売り上げ新記録となる48億7402万2850円を達成した。だが、この記録も2カ月足らずで更新。12月29日の東京大賞典(大井、G1)当日は61億9493万3590円に達した。また、同レース単独の売り上げも37億3269万5200円と史上最多で、中央の日曜施行のG3並みの数字となった。こうした主要レースは中央馬が出走可能で、優勝争いも中央馬が主体。名の知れた馬が走る分、JRAのネット投票会員も買いやすく、売り上げへの効果も絶大。主要レースに加え、南関東のレースはほぼ毎週、JRAのネット投票で発売され、認知度も深まった。JRAネット投票による地方発売の年間売り上げは、通年発売初年度の13年が約255億円(発売216日)だったが、昨年は591億円(同232日)に急伸。今年からは発売日数を大幅に増やしており、7月時点で440億円を突破し、通年で750億円を超える勢い。JRAにも推定約1割の手数料収入が入り、収益にも貢献している。

ウィンウィンの相互発売

川崎と浦和は中央側の馬券発売でも潤った。両競馬場は独自の設備投資で発売システムを整備。川崎は11年12月から全日全レースを発売した(浦和は12年2月スタート。土曜はG1前日に発売)。川崎の昨年の年間発売金(売り上げに出走取消などによる返還金を加えた額)は約244億円。地方施行者が中央の馬券を受託販売した際の手数料率は5%前後とされ、年間収入は12億円程度とみられる。以前は自場のレースが売れなくなるのを恐れて、中央の馬券発売には消極的な施行者が多く、川崎と浦和の思い切った判断が好結果を呼んだ。

他の地方競馬場も、地方共通のトータリゼータ(発売票数集計・払戻金計算)システムの整備を受け、13年3月から「J-Place」と銘打って中央の馬券を発売。昨年1年間の発売金は約542億円に上り、今年上半期の時点で全国の10の施行者が47施設を稼働。川崎と浦和は中央の場外発売所の呼称である「WINS」を使用しており、現時点で中央の馬券の受託販売を行っていない施行者は佐賀だけだ。

一時衝突、協力への長い道のり

こうした広範な発売協力が打ち出されたのは10年12月で、JRAと全国公営競馬主催者協議会(全主協)、地方競馬全国協会(NAR)の3団体が共同で発表した。そもそも3団体が共同で何かに取り組むこと自体、日本の競馬の歴史では画期的で、少し前まで中央と地方は冷めた関係にあった。90年代以降、地方の苦境が深まるとともに、「体力のあるJRAが支援すべきだ」とのムードが強まっていた。ところが、01年に農水省が地方再生策を協議するために設置した「地方競馬のあり方に係る研究会」(生産局長の私的懇談会)では、JRAとNARの出席者がこの問題を巡って激しく衝突した。

論議になったのは、JRAのネット・電話投票システムの地方への開放だった。JRAも当時は業績不振で、売り上げを食われる懸念があった。しかも、当時の小泉純一郎政権が進めていた行政改革で、JRAの組織形態問題が焦点化。こうした議論の渦中に、政治の圧力で経営難の地方を丸抱えするように支援させられることをJRAは警戒した。01年から05年は地方競馬の「第1次廃止ドミノ」というべき時期で、01年の大分・中津の廃止を皮切りに、05年までに7つの施行者が事業から撤退した。「現在のような協力関係があったら……」と惜しまれるが、当時はJRAとしても背に腹は変えられない状況だった。

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