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広島 原爆遺構を巡って 「ピースツーリズム」市が提唱
ドーム・資料館以外も発信

2017/8/6 6:00
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原爆投下から6日に72年を迎える広島。原爆ドーム以外にも残る遺構を外国人旅行者らに巡ってもらう取り組みが動き出した。昨年5月のオバマ前米大統領の訪問もあって外国人は急増したが、見学先は一部の遺構に集中し、滞在時間も短い。広島市は原爆遺構を回りながら平和を考える「ピースツーリズム」を提唱し、順路策定を進める。

原爆ドームを訪れた外国人観光客(5日、広島市)

原爆ドームや広島平和記念資料館(原爆資料館)がある広島平和記念公園は連日、カメラを手にした外国人が行き交う。7月下旬、資料館を訪れたイタリア人女性(26)は「オバマ氏の訪問は母国でも報じられ広島への関心は高い。戦争の悲惨さを改めて学べた」。イスラエル人男性(55)は「核兵器の恐ろしさを自分の目で確かめたい」と大阪出張後に足を延ばしたという。

2016年に広島市を訪れた外国人は約118万人で、12年(約36万人)の3.2倍になった。外国人に人気の大阪や京都から広島まで足を運ぶ人が増えたほか、現職大統領だったオバマ氏の来訪で注目度が増した。

ただ15年の市の調査によると、平和記念公園を訪れた外国人がほかに市内で立ち寄った施設は広島城(43%)、世界平和記念聖堂(39%)が目立つものの、被爆した小学校など他の原爆遺構は10%以下だった。

爆心地から約460メートルにある市立袋町小学校の資料館には、被爆当時に伝言が書き込まれた壁など貴重な資料が展示されるが、外国人はまばら。資料館の藤林浩二さん(65)は「少しでも時間があれば立ち寄ってほしい」と話す。

広島市は今年度、「旅行者に平和への願いを共有してもらうため、原爆の惨禍や復興の道のりを伝える場所をじっくり見てもらう必要がある」(担当者)として、原爆遺構を巡るピースツーリズムの取り組みを始めた。

戦争や災害の跡地を巡る観光に「ダークツーリズム」という言葉も使われ始めているが、同市は前向きな印象にするためピースツーリズムを提唱。被爆者や平和運動団体関係者らを招いた懇談会を6月に立ち上げた。

懇談会では、米独立戦争の史跡16カ所を巡る約4キロの線を道路上に引いた米ボストンの事例などを参考に、複数の原爆遺構を周遊する順路の設定▽スマートフォンを活用した現地案内▽被爆者を含めた市民との交流――などについて話し合う。来年度に各施策を始めるという。

原爆遺構は慰霊や鎮魂の場でもある。原爆ドームの世界遺産登録20年を記念して市が昨年12月、ドーム周辺をイルミネーションで彩った際には、被爆者から「ふさわしくない」と批判の声が上がった。

懇談会で座長を務める元原爆資料館館長の原田浩さん(78)は「オバマ氏の訪問で、海外に発信する機運は高まった。被爆地だからこそ伝えられる平和の大切さを感じてもらえるよう知恵を絞りたい」と話している。

■広島訪問外国人、米国が最多の16% 中韓は少なく 広島市が同市を2015年に訪れた外国人約2200人に実施したアンケートによると、出身国・地域は88と幅広く、欧州が4割を占めた。米国(16%)が最多で、オーストラリア(15%)、イタリア(8%)、英国(6%)などが目立つ。近隣の中国(1%)と韓国(0.2%)は少なかった。

年齢別では20代(31%)が最も多く、30代(27%)を含めた40歳未満が全体の6割を占めた。職業は会社員(37%)、大学教授ら専門家(22%)、学生(16%)の順だった。

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