新宿に「箱根山」、都心最高峰44.6m 歴史をたどる

2017/8/5 15:30
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東京都は西高東低の地形だ。西には一番高い雲取山(標高2017メートル)を筆頭に、奥多摩の山々が頂を連ねる。ただ東側だって真っ平らではない。都心で最も高い山に登ろうと、新宿区の都立戸山公園に出かけた。

戸山公園内にある人造の山「箱根山」(東京都新宿区)

戸山公園内にある人造の山「箱根山」(東京都新宿区)

箱根山という。標高44.6メートル。神奈川・静岡県境にある本家には遠く及ばないものの、山手線の内側で最高峰を誇る。江戸時代、この地には尾張藩の広大な下屋敷があった。2代藩主の徳川光友が庭園を造った際、池を掘った土で築かれた人造の山が今もその姿をとどめている。

戸山公園サービスセンターの吉田幸三さん(68)によると、当初はおわんを伏せたような形から「玉円峰」と称されたが、後世になって「箱根」に変わった。庭園内に小田原の宿場町を模した町並みがあったのが由来とされる。

山容は300年間ほぼ変わらないが、麓の風景は劇的に変わった。

明治維新後、土地の所有が政府に移ると、庭園は壊され、陸軍戸山学校が設けられた。射撃場、軍医学校……。軍事面で近代国家を支える拠点となった。

現在公園内にある戸山教会と付属幼稚園は将校の集会場を土台に建てられた。内部には将校が書き残したとみられる"落書き"も残る。

それから70年余。「緑が多く、新宿あたりから戻るとほっとする」と教会の副牧師で幼稚園副園長も務める佐野真也さん(49)。この春、情報通信企業を辞め、長年の希望だった牧師になった。教会に併設された住居に住み、毎日山を見上げて暮らす。

園児にとっても自然を学ぶ格好の教材になっている。専門家を招き観察会も開かれる。「トカゲやカエルもいるし、この前はカブトムシも見つけた」。殿様が造った市中の秀峰は、現代の人々にも憩いを与えている。

▼都立戸山公園 尾張藩の下屋敷当時は「戸山荘」と呼ばれた。約45万平方メートルの広大な敷地には池や山のほか、多くの寺社もあった。第2次世界大戦後はGHQ(連合国軍総司令部)の接収を経て、一部が都立公園として整備された。
 公園は明治通りをはさみ「箱根山地区」「大久保地区」の2エリアに分かれる。春から夏にかけてはサクラやツツジ、秋は紅葉が見ごろ。箱根山に登ると「登頂証明書」をもらうことができる。
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