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日本版NCAA? 大学スポーツ変革への第一歩
編集委員 北川和徳

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2017/8/4 6:30
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筑波大学が各スポーツ部(体育会)を一元的にマネジメントする「アスレチックデパートメント」(AD)を設置する方針を発表した。8月1日付で設置準備室が発足。室長には米大手スポーツ用品メーカー、アンダーアーマー(UA)の日本総代理店「ドーム」(東京・江東)の安田秀一会長兼最高経営責任者(CEO)が客員教授となって就任した。現在は各スポーツ部、チームに任されている安全対策や会計管理、コンプライアンス(法令順守)を、新たにADの管理下で強化する狙いがある。

箱根駅伝では学生たちの頑張りが出場校のブランド力をアップさせている

箱根駅伝では学生たちの頑張りが出場校のブランド力をアップさせている

地味なニュースであまり注目はされていないが、個人的には日本の学生スポーツが抱える根本的な問題を変革する画期的な試みだと思う。大学スポーツに関して最近、日本版NCAA(全米大学体育協会)という言葉をしばしば聞くようになったが、各大学でのADの設置はその実現のための前提となるはずだ。

ADとは日本語では大学の体育局と呼ぶのが適当か。もっとも日本で体育局を設置している大学などほとんどない。学生スポーツは大学が管理するものではなく、学生の自主的な活動として存在している。各大学のスポーツ部は通常は任意団体であり、運営は学生やOBに任されている。大学側は部長を置くことはあっても、監督やコーチを選ぶ人事権を持たないし、活動資金を一部補助することがあっても会計報告などは受けない。

ガバナンスやリスク管理に問題点

日本ではこのやり方がスポーツのあるべき姿のようにも感じるが、実はさまざまな問題をはらんでいる。

一般的に大学のスポーツ部の運営費は現役部員からの部費がベースだ。人気があってブランド力の高い一部のチームは、独自にスポーツ用品メーカーなどからユニホームや用具の提供を受け、リーグからの収益の分配やスポンサー料も入ってくるが、ほとんどのスポーツ部の活動資金は乏しい。任意団体では赤字を繰り越すこともできないから、足りなくなれば結局、現役部員の負担を増やすことになる。

そんな状況では格闘技やアメリカンフットボール、ラグビーなど深刻な事故の起きやすい競技でも、その防止策にお金をかける余裕はない。監督やコーチはほとんどのケースで大学と雇用関係のないOBが引き受け、十分な報酬が支払われることもない。同時に厳格な会計管理が必要ないため、指導者らによる資金の私物化といった不祥事もしばしば起きる。ガバナンス(組織統治)が効かず、リスク管理のシステムもないのが日本の大学スポーツの実態だ。

少子化で学生数が減少する時代を迎え、大学にとって人気のあるスポーツ部は志願者をひき付ける重要なツールになってきた。学生アスリートの活躍は間違いなく学校に大きな付加価値を生み出す。正月最大のスポーツイベントとなった箱根駅伝での学生たちの頑張りがどれだけ出場校のブランド力をアップさせていることか。駅伝だけでなく、野球やラグビー、サッカー、アメフトなどの対抗戦やリーグ戦を、同窓の仲間として応援したいという気持ちが、志望動機の一つになることは昔から珍しくない。

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