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苦戦アルゼンチンに変化 期待大きい闘将の手腕
サッカージャーナリスト 沢田啓明

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2017/8/3 6:30
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世界の先陣を切って2015年10月に始まり、参加10カ国がホームアンドアウェー方式で対戦を重ねてきたサッカーの18年ワールドカップ(W杯)南米予選は残り4節。ブラジルが首位を快走して早々とW杯出場を決め、ボリビアとベネズエラが脱落。7カ国が残る3.5枠を奪い合う(5位はオセアニア代表との大陸間プレーオフへ回る)。最も注目されるのが第14節終了時点で6勝4分け4敗で5位と苦戦する強豪アルゼンチンの動向だ。

名将ビエルサ氏から大きな影響

FWメッシ(バルセロナ)、CFイグアイン(ナポリ)、MFディマリア(パリ・サンジェルマン)ら世界トップクラスの名手をそろえながら、最終ラインからトップまでの距離が間延びして攻守が分断され、組織的なプレーができず、勝ち点を落とし続けた。今年4月にエドガルド・バウサ監督が解任され、スペインリーグの強豪セビージャを率いていたホルヘ・サンパオリ氏が新監督に就いた。

サンパオリ氏はメッシの生まれ故郷ロサリオの近郊の出身で、57歳。現役時代はボランチで、地元クラブの下部組織でプレーしながらプロを目指したが、故障のため19歳で引退。「選手としては完全に失敗した」(サンパオリ氏)が、「自分にはサッカーしかない」と考え、「W杯に出場するような監督になりたい」という無謀とも思える夢を抱き、地方の弱小クラブで指導者の道を歩み始めた。戦術研究に没頭するうち、1990年代にアルゼンチンリーグを4度制覇し、その後、アルゼンチン代表とチリ代表を率いた名将マルセロ・ビエルサ氏の戦術と指導法に強く共感。「高い位置から強烈なプレスを仕掛け、人数をかけて相手ゴールを襲う」というビエルサ流の攻撃的なスタイルをベースとしながら、対戦相手の出方に応じて自在にフォーメーションを変更するなど、独自のテイストを加えていった。

試合中は常にコーチングエリアをせわしなく歩き回り、大きなジェスチャーで選手に指示を与える。味方のミスには頭を抱えて悔しがり、ゴールが生まれると飛び上がって絶叫する。なりふり構わない姿はコミカルですらある。

勝利に対するすさまじい執念

勝利に対する執念はすさまじい。監督として駆け出しのころ、審判の判定に不服を唱えて退席処分を受けると、ピッチ脇の高い木によじ登り、大声で選手に指示を与え続けたという逸話がある(ただ、そこまでやっても敗れたそうだ)。

選手としての実績が皆無だった悲しさで、国内有力クラブからは見向きもされなかった。ペルー、チリの中堅クラブを率いてコツコツと実績を積み上げ、11年、チリの強豪ウニベルシダ・デ・チレの監督に就任。この年の国内リーグで優勝すると、コパ・リベルタドーレスも制覇して南米クラブ王者になった。

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