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科学技術への興味、スポーツで取り戻せ プロの挑戦
渡辺史敏 ジャーナリスト

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2017/8/23 6:30
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スポーツイノベーターズオンライン

 「スポーツ×テクノロジー」「スポーツ×地方創生」「スポーツ×ツーリズム」・・・。近年、スポーツを切り口にした新ビジネス創出への取り組みが活発化している。そうしたなか、スポーツを上手に活用して子供たちに科学技術やIT(情報技術)に対する関心を高めてもらうことを目指す、「スポーツ×教育」の取り組みが増えている。今回は、米国の最新事例を紹介する。

 米国では、スポーツ選手やチームが社会奉仕活動を行うことはもはや当たり前となっているが、近年増えてきているのが「STEM教育」や「STEAM教育」への取り組みだ。

 STEMとは科学(Science)、テクノロジー(Technology)、エンジニアリング(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字を取ったもので、これらの教育分野を指す。

 STEAMはSTEMにアート(Art)を加えたものだ。STEM教育はハイテクやIT産業が拡大しているにもかかわらず、そうした職種への適格者が米国において不足しているという懸念に端を発している。

 STEMに関連した求職数は非STEMの1.7倍の比率で増加しているというデータや、今後10年間に全職種の80%はSTEMに関する知識が必要になるという予測もある。一方で、米教育省はSTEM関連キャリアに関心を持つ高校3年生は全体のわずか16%、と発表している。

 この原因として、STEMを統合的に教えるカリキュラムについて、特に初等教育で適切に実施されていないことが指摘されてきた。このため、米国立科学財団を中心にSTEM教育を初等教育から受けさせる動きが広がり、それがスポーツ界にも波及しているのだ。子供に人気のあるスポーツを入り口に科学実験ショーや物理実験など子供にも親しみのある形でSTEMに触れてもらい、関心を高めてもらうのが狙いである。

■シリコンバレーの49ersがSTEMで提携

サンフランシスコ49ersの試合の様子(写真:NFL)
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サンフランシスコ49ersの試合の様子(写真:NFL)

 スポーツにおける代表例の1つとして挙げられるのが、米プロアメリカンフットボールNFLのサンフランシスコ49ersの取り組みである。同チームの本拠地はシリコンバレーのど真ん中のサンタクララ市に位置するだけに、2014年から熱心にSTEAM教育プログラムを展開してきた。2016年9月には、無料オンライン学習プラットフォームを展開するカーンアカデミーと提携している。

 カーンアカデミーとの提携によって、オンラインで49ersに関連した事象や話題を通して学習できるようになった。同アカデミーのサイト内に設けられた49ersのハブでは、49ersの選手による「ボールを投げる時にスパイラルをかけて投げることがなぜ良いのか?」といった質問にカーンアカデミーの創設者兼CEO(最高経営責任者)が答える、といった内容のビデオが掲載され、自由に閲覧できるようになっている。

 さらに49ersは2017年5月、チームが運営する財団と石油などのエネルギーを扱う米シェブロン、大手携帯電話会社の米ベライゾンなどと組み、STEM教育とそのビジネス機会の開発に向けた提携も結んでいる。

49ersは2017年5月、チームが運営する財団と米シェブロン、米ベライゾンなどと、STEM教育とそのビジネス機会の開発に向けた提携を発表した(図:49ersのWebページ)
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49ersは2017年5月、チームが運営する財団と米シェブロン、米ベライゾンなどと、STEM教育とそのビジネス機会の開発に向けた提携を発表した(図:49ersのWebページ)

■レッドソックスが科学博物館と提携

 メジャーリーグ(MLB)のボストン・レッドソックスも本拠地ボストンが学術都市ということもあって、STEM教育に積極的に取り組んでいる。2017年4月には地元の科学博物館と複数年の提携を結び、7万人以上が加入している14歳以下の子供向けファンクラブ「レッドソックス・キッド・ネーション」で野球をテーマにしたSTEMコンテンツを開発・発信することを発表した。2017年シーズン後半には教材本が出版され、本拠地フェンウェイパークでも販売されるということだ。

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