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百舌鳥・古市古墳群、世界遺産に推薦 19年に審査

文化審議会は31日、2019年の世界文化遺産登録をめざす推薦候補に「百舌鳥(もず)・古市古墳群」(大阪府)を選んだ。国内最大級の仁徳天皇陵古墳(大山古墳)をはじめ多様な古墳が集積し、価値が認められやすいと判断した。政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書を提出し、19年夏の世界遺産委員会で審査される見通し。

文化審議会の国内推薦は今回が4度目の挑戦だった。ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)による現地審査や勧告などを経て、世界遺産委で登録の可否が判断される。

31日の文化審議会世界文化遺産部会では同古墳群のほか、「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟)の3件を審議した。

同日記者会見した佐藤信部会長(東京大大学院教授)は同古墳群について「様々なサイズ・形状の古墳がまとまっている。古代王権確立期の社会関係や文化が視覚的に示され、世界的にも珍しい」と評価。他の2件に比べ、構成資産の見直しや説明の工夫など「推薦書の準備が最も進んでいた」と説明した。

佐藤氏は、近年イコモスの審査が予測しにくくなっているとも指摘。審査の経過によっては「推薦内容の見直しや取り下げもあり得る」として、関係自治体の周到な準備を促した。

松井一郎府知事は同日、府庁で開いた報告会で「これは第一歩。正式に登録されるまで万歳はお預けです」と話した。百舌鳥古墳群の地元、堺市の竹山修身市長は「(推薦候補を外れた)昨年の悔しさを忘れてはいけない。ユネスコの登録まで頑張る」と力を込めた。

 ▼百舌鳥・古市古墳群 大阪府の南部、堺市にある「百舌鳥古墳群」と羽曳野、藤井寺両市に広がる「古市古墳群」の総称。4世紀後半~6世紀前半に200基以上が築造され89基が現存する。仁徳天皇陵古墳(大山古墳、墳丘長486メートル)や応神天皇陵古墳(誉田御廟山古墳、同425メートル)など巨大前方後円墳を筆頭に、様々な規模や墳形の古墳が密集する。
 世界文化遺産への登録を目指すのは49基。うち29基を宮内庁が陵墓として管理し、28基は国や市の史跡に指定されている。墳丘を宮内庁が管理する一方、外堤部などが国や市の史跡になっている例も8基ある。

登録審査は厳格化 ユネスコ、先進国偏重など懸念

百舌鳥・古市古墳群の価値などを調査するイコモスは近年、評価を厳格化しているとされる。登録への道のりは平たんではない。

日本は世界遺産条約を批准した1992年以降、「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良県)や「原爆ドーム」(広島県)など14件連続で推薦遺産の登録に成功した。

しかし、2008年に「平泉の文化遺産」(岩手県)がイコモスから「世界的意義の証明が不十分」と指摘され、日本推薦としては初めて登録が見送られた。再挑戦で11年に登録されたが、「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)は13年に「不登録が適当」という最も低い評価を受け、推薦を取り下げた。

厳しい審査の背景には、世界遺産が先進国に偏っているうえ、増え過ぎて保全管理がおろそかになりかねないというユネスコの懸念がある。

世界遺産制度に詳しい立命館大の井沢友美助教(国際関係論)は「近年は途上国など件数が少ない国が優先されており、日本は有利ではない」と指摘。同古墳群の登録に向け「古墳を知らない海外の審査員に価値を明確に説明し、保全に向けた国や地元の連携姿勢を示す必要がある」としている。

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