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高校内にカフェ 「居場所」づくりで不登校防げ
大阪発の活動、各地に広がる

2017/7/31 15:22
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高校生活になじんでもらおうと、生徒らが気軽に過ごせるカフェなどを校内に開く大阪府の取り組みが注目されている。全国と比べ中退や不登校となる生徒の割合が多いことを受け、府が「居場所をつくり、多面的に支えたい」と民間団体に運営を委託した。教員や親には言えない悩みが生徒から明かされることも多く、同様の試みは各地に広がりつつある。

大阪府立長吉高校内にあるカフェで飲み物を頼む生徒ら(大阪市平野区)

「どうぞ、いらっしゃい」。昼休みになると、テーブルクロスが引かれた教室に、生徒らが弁当持参で集まってきた。軽快な音楽が流れる府立長吉高校(大阪市)の「なかカフェ」。すぐに約20席が埋まり、生徒らはココアやジュースを飲みながらくつろぐ。

週2日カフェを開くのは、府から委託を受けた一般社団法人「officeドーナツトーク」(同市)の的場聡行さん(44)ら。よく訪れるという3年の女子生徒(18)は「気軽に色々話せて、カフェがある日は学校に行くのが楽しい」と声を弾ませる。

的場さんによると、生徒からは「家庭での食事が足りない」「両親が不仲で家に居づらい」といった日常生活の悩みについて相談を受けることも多く、気がかりな生徒は教員に伝えている。草野和夫教頭は「親に虐待を受けていたことが発覚したこともある。セーフティーネットとして欠かせない場所だ」と話す。

府内の高校生の中退や不登校の割合が高止まりするなか、府は悩みを抱えた生徒の居場所をつくろうと、2012年に事業を始めた。運営はNPO法人など民間に委託。カフェや食堂、学習室など様々な形で、これまでに計26校で開いた。

府の担当者は「いったん不登校になると、登校を促すのは難しく、中退後に引きこもりやニートになるケースも少なくない」と指摘。「気軽に足を運べる居場所を心のよりどころにし、学校に行きたいと思う動機につながれば」と期待を込める。

カフェなどを開いた学校へのアンケート調査では「不登校経験のある生徒に友人ができて登校するようになった」といった声が寄せられたという。府の取り組みを参考に、神奈川県内では14年から県内の高校の図書館にカフェを開設。静岡市内の高校も今年9月から始める。

好意的な意見が多い府の事業だが、課題は財源の不安定さ。12~17年度の予算規模は、約300万~約9800万円と年度ごとで差があり、毎年度同じ高校で開けるとは限らない。府立桃谷高校(大阪市)などでカフェを運営するNPO法人「み・らいず」(同市)の山中文理事(40)は「専門家の知恵や地域の協力などを得ながら、事業を続けていく必要がある」と訴えている。

不登校・中退の生徒多い大阪府
 文部科学省の2015年度の調査によると、大阪府内の高校生1000人当たりの不登校生徒数は27.9人で、全国平均(14.9人)の2倍近くに達し、都道府県別でワースト。中退する生徒の割合も1.9%と、鹿児島県に続き全国で2番目に高い。
 府内の高校生が中退した理由では「進路変更」(39.7%)が最も多く、「学校生活や学業に適応できない」(29.9%)が続いた。府内の高校教諭は「貧困といった厳しい家庭環境で生活が乱れ、高校から足が遠のいてしまう生徒が多い」と話している。

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