2019年5月24日(金)

音楽の著作権料 JASRACが徴収攻勢、いくらが妥当?

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2017/8/3 2:00
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JASRACの徴収額にとって、15年の最高裁判決も影響を与えうるとみる専門家もいる。テレビやラジオで使う楽曲の著作権料をめぐって最高裁は同年4月、JASRACの契約方式が「他業者の参入を妨げている」と指摘した。放送局向けの著作権管理はJASRACの独占状態だったが、風穴が開いた。エイベックス・グループ・ホールディングスはJASRACに任せていた音楽利用の契約を見直し、新たな著作権管理会社に集約しだした。JASRACにとって「放送等」の徴収額は311億円と、全体の3割を占める稼ぎ頭だ。将来的に減る可能性があれば、別の分野を伸ばす動機になり得る。

著作権料の徴収に音楽教室側は反対している(ヤマハ音楽振興会のレッスン風景)

著作権料の徴収に音楽教室側は反対している(ヤマハ音楽振興会のレッスン風景)

■音楽教室に「受講料収入の2.5%」提示

音楽の著作権料は、公衆に聞かせることへの対価といえる。いま問題となっている音楽教室の場合、教室側は「演奏技術の習得のため」なので聞かせること自体が目的ではないと反論している。カラオケやダンス教室のように録音物の再生でもなく、さらに講師の演奏よりも生徒が練習する時間のほうが大幅に長いという。現役ピアニストとして国際コンクールでの入賞経験も持つ橋本阿友子弁護士は「聞かせる目的にあたると言っていいか慎重に判断する必要がある」と話す。

もし音楽教室からも著作権料を取る場合、いくらが妥当な価格なのかも議論の余地がありそうだ。いまのJASRACの提示内容だと、包括契約を結べば1教室あたりの年間使用料は受講料収入の2.5%としている。例えば東京都内で月4回(1回30分)の受講料が8千円のピアノ教室だと、1カ月分の著作権料としては200円を払う計算になる。1時間あたりだと100円だ。1カ月ごとに1曲を習得するレッスン内容なら、その分配の対象となるのはアーティスト1組だろう。

一方、カラオケ店だと「1人1時間あたり500円超~1千円の料金かつ定員10人までの部屋」だったら、JASRACに払う月額使用料は1部屋あたり1万2千円だ。都内だと年中無休で1日19時間営業の店もあり、1時間あたり21円の計算になる。1曲5分でフルに詰め込むと1時間に12曲歌えるので、全て別のアーティストの曲なら1アーティストあたり1.75円となる。この仮定だと、カラオケ店に比べてピアノ教室のほうが1アーティストへの分配の基となる金額は57倍となる。

今回は「音楽教室は教育と営利のどちらが主体なのか」という議論も起きている。音楽教室の先生も無償では生活できないので、営利ではある。そのうえで「教育だから演奏権の侵害ではない」といえるか、法曹関係者の中でも見方が分かれている。いずれ結論は出るが、どちらにしても「音楽を普及させるため」と胸を張れるかが重要だ。音楽家の生活という観点では、徴収額の分配方法についてJASRACの手数料を含めて妥当かどうかの議論があってもよさそうだ。

(商品部 小太刀久雄)

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