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フルスイングの余韻(山崎武司)

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横綱白鵬が金字塔 野球選手にも通じる記録の話

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2017/7/30 6:30
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一方、生涯記録はモチベーションになりにくかった。例えば打者にとって大きな勲章の2000安打は遠すぎて目標にならなかった。僕の通算安打は1834本。残り100本を切れば現実味が出てきたのかもしれないが、160本以上も残っていてはボンヤリとも見えなかった。唯一こだわったのは憧れの長嶋茂雄さんが残した444本塁打だ。30代後半で楽天に移籍した後、本塁打がポンポン出始めて意識するようになった。しかし楽天最後のシーズンの5月、骨折したところでジ・エンド。403本で幕を閉じた。

前人未到の史上最多登板記録に挑む中日・岩瀬=共同

前人未到の史上最多登板記録に挑む中日・岩瀬=共同

プロ野球で近く達成確実な前人未到の大記録が岩瀬仁紀(中日)の史上最多登板だ。阪急などで活躍した米田哲也さんの949試合に迫っている。一昨年は登板がなく、昨年も防御率6.10。そろそろまずいかなと思っていたが、今年は立派な戦力になっている。体調がいいのだろう。何より真っすぐに元気がある。米田さんとは時代が違うが、これほど長く結果を出し続けてきたのは努力のたまものにほかならない。中日では今年、荒木雅博も2000安打を達成した。入団当初、彼が2000安打打つと想像した同僚はいなかった。真面目にコツコツと頑張ってきたのが実を結んだ。

故障せぬ体づくりあってこそ

こうした大記録の前提となるのは故障をしない体づくりだ。プレー中のケガは避けられない部分もあるが、故障の多くは自助努力で回避できる。僕は疲労を残さないよう心がけていた。「質の高い休み」を取ることは、体を鍛え、練習するのに劣らず大切だ。いい状態でグラウンドに立って初めて実力を発揮できる。

そもそも人間の体は一人ひとり違う。同じだけ練習し、同じだけ休んでも疲れ具合は千差万別だ。現役時代の僕は「体の声」に耳を澄まし、極力我慢しないことを意識していた。おなかが減れば食事をする。眠くなれば寝る。野球も同じだ。体が元気ならしっかり練習し、気が向かないときは無理をしない。

大リーグではナイターの後のデーゲームなどは軽めの練習で済ませるが、ハードワークの習慣が根強い日本ではなかなかそうはいかない。マイペース調整が難しい若手なら打撃練習の本数を減らすなど自分なりに加減するだけでもいいだろう。確かに練習を減らすことには不安もつきまとう。だが、そうした不安に勝つこと、休んでもしっかりとしたパフォーマンスを出せる能力を培うこともプロの大事なたしなみなのだ。

(野球評論家)

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