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ミャンマー少額金融 担保は「よりよい未来」

2017/8/1 7:00
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 2011年の民政移管後、ミャンマーは急激に変化している。閉ざされた国境が開き、国外から投資資金や先端技術が次々と流入する。この機会を逃すまいと無担保で事業の元手となる少額資金を貸し出す「マイクロファイナンス」の分野でも資金需要が伸びている。

 「親戚から新鮮な羊肉を仕入れて小売りする仕事を始めたい」。ヤンゴン北部で飲食店を営む51歳の女性は、マイクロファイナンス機関に40万チャット(約3万2000円)の融資を申請した。借入金で肉を仕入れて販売し、その代金を次の仕入れにあてる。売買で得た利益の一部で毎週、元金と利子を返済する。

 ミャンマー政府はマイクロファイナンスを積極的に後押しする。11年に貸出機関の法的位置づけを定めた法律を制定し、外国の非政府組織や企業の参入を広く認めた。16年には貸し出しの規制を緩和しており、事業者数は急速に伸びる。

 一方で多重債務など課題もある。中部マンダレー管区の農村に住む女性は3つのマイクロファイナンス機関から融資を受けていた。だが3年目、新たに始めたコメの販売がうまくいかず、予定外の妊娠も重なった。収入が途絶え、現在は高利貸しからの借金でつなぐ。返済に連帯責任を負う5人組のメンバーも、「もう一緒には組めない」と不信感を募らせてしまっている。

 まだまだ成功と転落が隣り合わせのリスキーな社会だ。だが不透明ながらも、「明日は今日よりも良くなる」と信じ未来に向かってあゆみを進める。よりよい生活を勝ち取るべく、したたかに生きる女性たちのありのままの姿だ。(ヤンゴン支局 新田裕一)

バイクで融資先の村に向かうソシオ・ライト・ファウンデーションのスタッフ。ヤンゴン郊外の7町村に約2万6000人の顧客を持つ

バイクで融資先の村に向かうソシオ・ライト・ファウンデーションのスタッフ。ヤンゴン郊外の7町村に約2万6000人の顧客を持つ

10万チャット(約8千円)の融資金を受け取る女性たち。マイクロファイナンスは女性を対象にしており、1グループ5人が連帯保証人となる(ヤンゴン郊外)

10万チャット(約8千円)の融資金を受け取る女性たち。マイクロファイナンスは女性を対象にしており、1グループ5人が連帯保証人となる(ヤンゴン郊外)

マイクロファイナンス機関のMJIから融資を受けたヌエ・イー・ウィンさん(47)。毎週8500チャット(約700円)を返済しながら養豚業を続け、世帯収入は融資前と比べて約1.5倍となった(ヤンゴン北部のバゴー管区)

マイクロファイナンス機関のMJIから融資を受けたヌエ・イー・ウィンさん(47)。毎週8500チャット(約700円)を返済しながら養豚業を続け、世帯収入は融資前と比べて約1.5倍となった(ヤンゴン北部のバゴー管区)

ソフトウエア開発の日本ブレーンと、マイクロファイナンスのコンサルタントを手掛けるリンクルージョンが共同開発し、マイクロファイナンス機関への導入が進む顧客管理アプリ「JBRAIN」(ヤンゴン郊外)

ソフトウエア開発の日本ブレーンと、マイクロファイナンスのコンサルタントを手掛けるリンクルージョンが共同開発し、マイクロファイナンス機関への導入が進む顧客管理アプリ「JBRAIN」(ヤンゴン郊外)

金融リテラシー教育を目的に創刊されたマイクロファイナンス専門のフリーペーパー「マンゴー」を配るスタッフ(ヤンゴン北部のバゴー管区)

金融リテラシー教育を目的に創刊されたマイクロファイナンス専門のフリーペーパー「マンゴー」を配るスタッフ(ヤンゴン北部のバゴー管区)

立ちゆかなくなったケースもある。中部マンダレー管区の女性は、夫の病気で返済が滞ったことをきっかけに、村の共同預金を使い込んでしまい、かつての仲間から告訴されるかどうかの瀬戸際にある

立ちゆかなくなったケースもある。中部マンダレー管区の女性は、夫の病気で返済が滞ったことをきっかけに、村の共同預金を使い込んでしまい、かつての仲間から告訴されるかどうかの瀬戸際にある

複数のマイクロファイナンス機関から融資を受け、多重債務に陥った農村部の女性。現在8人目の子供を妊娠中で、借金返済の見通しは立っていない(中部マンダレー管区)

複数のマイクロファイナンス機関から融資を受け、多重債務に陥った農村部の女性。現在8人目の子供を妊娠中で、借金返済の見通しは立っていない(中部マンダレー管区)

成功と転落が隣り合わせとはいえ、借入金の返済率は99%を超える。リンクルージョンの黒柳英哲代表取締役は「ミャンマーは働くことに喜びを感じる人が多い。働き者気質を後押しして顧客中心の健全な金融市場に成長すれば、マイクロファイナンスは国全体の経済の底上げにつながるはず」と話す(中部マンダレー管区)=小林健撮影

成功と転落が隣り合わせとはいえ、借入金の返済率は99%を超える。リンクルージョンの黒柳英哲代表取締役は「ミャンマーは働くことに喜びを感じる人が多い。働き者気質を後押しして顧客中心の健全な金融市場に成長すれば、マイクロファイナンスは国全体の経済の底上げにつながるはず」と話す(中部マンダレー管区)=小林健撮影

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