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レフェリング、急激な変化の背景にあるもの
サッカージャーナリスト 大住良之

(3/3ページ)
2017/7/28 6:30
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UEFAは16年の欧州選手権(フランス)でGLTを採用。AARと両システムが併用される初めての大会となった。そしてFIFAはIFABと組んで16年3月に「VAR」の試験採用を認可、いくつかの国でテストをし、FIFA自身は同年12月のFIFAクラブワールドカップでテストして鹿島アントラーズに決定的なPKを与えるなど話題を呼んだ。

引き続き、今年のU-20(20歳以下)ワールドカップ(韓国)、コンフェデレーションズカップ(ロシア)でもテスト、インファンティノ会長は「来年のIFABで正式採用を決め、ワールドカップ(ロシア)でも使用する」と公言している。

実施前にクリアすべき課題多く

VARを実施するには、非常に多くの課題をクリアしなければならない。VARは通常2人のトップクラスの主審が担当して映像をチェックするが、必要な角度からの映像を瞬時に出す技術者の養成、ピッチ上の主審といかにコミュニケーションを取るかなど、長期のトレーニングが必要だ。

この秋からも世界中のリーグなどでさらなるテストが行われるが、巨額の費用を必要とするうえに人の手当ても大変なため、スポット(年数試合、あるいは1節1試合など)でのテストが多い。

そうしたなかで、ドイツでは17~18年シーズンのブンデスリーガ1部全306試合でVARを採用する。各国のテストが2部や3部であることが多いなか、トップリーグで、しかも全試合を対象にすることで注目を集めている。注目されるのは、試合の行われるスタジアムの外にバンを置いてそこで作業という従来の形ではなく、ケルンにある放送センターに全スタジアムの全映像を高速回線で集め、そこに試合ごとのブースをつくってVARを行う「セントラル方式」が初めて使われることだ。

6月から7月上旬まで開催されたコンフェデレーションズカップではVARが1試合平均3回近く判定にかかわり、正確な判定が下されるとともに、本サイトのコラム「勝利のメンタリティー」でサッカー解説者の山本昌邦さんが報告しているように、判定を待つ間に試合が中断されること、ピッチ上の審判がVARまかせになって自ら判定を下さないという現象も起きている。世界でもVAR導入を疑問視する声も少なくない。

日本でも研究は行われているが、費用や必要な映像、人の手当てなど、非常に多くの課題を抱えている。

10年代に入って急激に変わりつつあるサッカーのレフェリング。その「究極の形」ともいうべきVARがどうなるか、世界の動きから目を離せない。

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