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レフェリング、急激な変化の背景にあるもの
サッカージャーナリスト 大住良之

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2017/7/28 6:30
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いまサッカーで最も熱い視線を浴びているのがVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー=ビデオ副審)である。国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティノ会長(47)は、来年ロシアで開催されるワールドカップでVARを使うと明言している。

サッカーは長い間非常に保守的な競技だった。ルール上にレフェリー(主審)という言葉が現れ、2人のラインズマン(現在の副審)と3人で試合を判定するようになったのは1891年。後にFIFA会長(1961~74年)となるスタンリー・ラウス氏が3人の審判員の理想的な動き方である「対角線審判法」を開発したのは1930年代のことだった。第2次世界大戦後、サッカー自体もサッカーを取り巻く環境も大きく変わったのに、審判システムだけは前世紀からのものがそのまま続けられてきた。

20世紀の間、審判システム自体に大きな変化はなかったが、もちろん、判定をめぐる問題は常に存在した。その最大のものは66年ワールドカップ決勝戦、イングランド―西ドイツの決勝ゴール、延長戦でイングランドのジェフ・ハーストが放ったシュートの判定だった。シュートはバーの下側をたたき、真下に行った。審判団は「ゴール」の判定を下したが、本当に入っていたのか、それから何十年間も議論されるものだった。

サッカーの判定は人間が行う

しかしその後も、「サッカーの判定は人間が行う。誤審もサッカーのうち」というFIFAのスタンスに変わりはなかった。91年には「第4審判員」が正式に認められ、94年ワールドカップから3人の審判員をアシストするようになったが、21世紀を迎えても新しいもの好きのジョゼフ・ブラッター会長(当時)でさえ、従来のスタンスを繰り返すだけだった。

しかし南アフリカで開催された2010年ワールドカップで、今度はイングランドのフランク・ランパードが放ったシュートが得点と認められないという事件が起こった。相手はまたしてもドイツ。だが今度は、ゴールラインの延長線上に置かれたテレビカメラが明確にゴールに入っていたことをとらえていた。試合の真実が、それも即時に、テレビによってすべて白日の下にさらされてしまう時代。そのなかでFIFAだけが超然としているわけにはいかなくなったのだ。

すでにいろいろな競技で「ビデオ判定」などが使用されており、サッカーのゴール判定システムもさまざまなアイデアで開発が始まっていた。12年にはボールがゴールに入ったかどうかを機械判定する「ゴールライン・テクノロジー(GLT)」の使用が正式認可され、14年にブラジルで行われた大会で使用された。

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