2018年2月20日(火)

血液でがん診断、体の負担軽く オンコセラピー

2017/7/26 6:30
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 がんワクチン開発のオンコセラピー・サイエンスは来年にも、がんの遺伝子診断サービスを始める。韓国企業との合弁で、病院などから診断を受託する新会社を立ち上げる。血液や尿など採取しやすい液体を使って検査することで患者の負担を減らし、がんの早期発見や的確な治療法の選択につなげる。

 まず、オンコセラピーの全額出資で川崎市に新会社「キャンサー・プレシジョン・メディシン(CPM)」を設立した。今後、韓国のテラジェン・イテックス社が資本参加する。最終的な出資率はオンコセラピーが64%、テラジェン社が36%となる予定だ。

 テラジェン社は1987年の設立。韓国で遺伝子解析事業などを手掛ける。オンコセラピーも同社に遺伝子解析を委託しており、精度の高さを確認したことから協業を決めたという。

 がんは遺伝子の異常によって発症する。遺伝子を解析すれば適切な診断や治療法の選択がしやすくなる。最近はがんの遺伝子変異に対応した分子標的薬も増えており、検査で効き目の見込める薬を見極めることも可能になるという。

 新会社はまず、病院で採取した患者の遺伝子を解析し、適切な治療方法に結び付ける事業を展開する。がん組織だけでなく、血液や尿など採取しやすい液体からがんの様々な検査を行う「リキッド・バイオプシー」と呼ばれる手法を活用する。

 一般的ながんの検査は患部などの組織を採取して分析する。しかし、患者の体に負担がかかるほか、費用も数十万円程度となり、気軽には行えなかった。それに比べて血液や尿は簡単に採取できるため検査のハードルが下がり、的確な治療法の選択や早期発見につながると期待する。

 早期発見としては、がんで高頻度に起きる遺伝子変異を血中のDNAから20~30種類検出し、がん細胞の有無を判断する。疑いが濃厚なら、病院での精密検査受診につなげる。がんの診断が確定すれば、がん組織や血液から遺伝子を解析し、最適な治療法が選択できるという。

 テラジェン社によると、同社の血液検査によるがん検出感度はステージ4の大腸がんで93%、ステージ2までは60%だ。今後研究を進め、精度を高めていく構えだ。

 将来的にはCPMの活動をオンコセラピー本体の創薬にも結び付ける。異常な遺伝子が分かれば、がん細胞が作る異常なたんぱく質も予測できる。そのたんぱく質はがんの有望な目印となり、がんペプチドワクチンといった、がん免疫療法に活用できる見込みが高いという。

 新薬の開発はリスクが大きく、オンコセラピーはこれまで膵臓(すいぞう)がん向けのがんペプチドワクチン臨床試験で2度失敗している。治療効果の証明が必要な新薬に比べると、がんの遺伝子診断は実用化へのハードルが低く、早期の収益化が期待できる。

 とはいえ、がん遺伝子検査でも開発競争が激しくなることが予想される。国内でもリキッド・バイオプシーの導入に向け、企業と研究機関の共同研究が行われている。CPMは国内でいち早くサービスを開始することで、存在感をアピールしたい考えだ。

(企業報道部 野村和博)

[日経産業新聞 2017年7月26日付]

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