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ギリシャ、国債発行再開の裏側

2017/7/25 11:30
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 ギリシャがいよいよ新規の国債発行に乗り出す。しかし、ギリシャ債務問題の根源は解決からはほど遠い。

 なんといっても、40兆円以上に上るギリシャの公的債務は、同国の脆弱な産業基盤では、まともな返済は不可能に近い。

 そこで国際通貨基金(IMF)は、まずは債務削減が必要と主張する。それができなければギリシャへの融資には応じられない、という姿勢を貫いてきた。

ギリシャ国会議事堂(筆者撮影)

ギリシャ国会議事堂(筆者撮影)

 一方、実質的に最大の貸し手であるドイツは、秋に総選挙を控える。ギリシャに対する債務削減は、選挙民からの反発が必至だ。

 両者の言い分が平行線をたどってきたが、ここにきてIMF側が、条件付きながらもギリシャへの融資に応じることになった。

 これに対し、ギリシャ国債を買う投資家の立場としては、欧州中央銀行(ECB)のお墨付きが欲しいところだ。具体的には、ECBの量的緩和プログラムの買い入れ国債対象にギリシャ国債が入れば、投資家にも一定の安心感を与える。

 しかし、今月20日のECB理事会後の記者会見で、ドラギ総裁は、この点について聞かれ、ギリシャ側が救済条件を確実に満たすことを行動で示さねば市場の信頼は戻らない、と素っ気なく答えた。

 そのギリシャ側の対応だが、チプラス首相は、更なる緊縮財政を約束している。しかし、ギリシャ国民の我慢はギリギリの限界に達している。

 アテネでは「もはやこれ以上の年金カットには耐えられない」と叫ぶデモがまたぞろ出始めている。たしかに筆者が現地で知り合った市民たちによると、「蓄えも無くなり、あすからは教会のお世話になる」というような事例が中産階級にまで波及しているという。なかには「こんな借金の山を返せるわけもないだろう」との開き直りさえ見られる。こうなると、借金した方より、貸した方が困る事態となる。

 返済のアテもない貸金だが、ドイツ国民は債務削減により、みすみすギリシャに血税を奪われることに強い抵抗を示す。とはいえ、債務削減せず放置すれば、早晩、貸金は臨界点を超えてしまうだろう。

 ドイツとギリシャはおそらく、秋の独総選挙後に、本格的な債務削減交渉に入ると思われる。このような状況下で、ギリシャは、自立した資金調達の手段である国債発行の再開に乗り出すわけだ。

 買い手として考えられるのは、当面、ギリシャ人の個人投資家と、ヘッジファンドくらいのものか。ただ、マイナス金利下で欧州機関投資家が「イールド(利回り)の追求」に必死に明け暮れるなかでは、ギリシャ5年債で予想される4~5%前後の利回りは魅力的に映るかもしれない。

 実はギリシャは2014年にも国債発行を再開している。当時はギリシャ経済回復についての楽観論が市場に流れていた。しかし、ギリシャは結局、借金地獄から抜け出せなかった。

 今回のギリシャの国債発行再開も、経済回復を誇示したいチプラス政権と、とりあえず貸し倒れのリスクが後退したことを示す事象にしておきたい欧州連合(EU)、特にドイツ側との暗黙の了解の産物にも見える。

 ここは投資家として冷静な見極めが肝要だろう。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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