ノボ ノルディスク、テレワーク・デイに参加

2017/7/24 23:00
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日経コンピュータ

2017年7月24日、テレワークを体験するキャンペーン「テレワーク・デイ」が全国で開催されている。このキャンペーンは、政府が企画したもので、モバイル端末をはじめとするICT(情報通信技術)を使って、会社のオフィス以外で仕事をする「テレワーク」を、全国で一斉に試行するものだ。

参加日に先立ち、政府は専用のキャンペーンサイトを開設し、参加企業を広く募ってきた。637社が参加を表明して、テレワークを社内実践している。

2017年7月24日朝8時30分過ぎのノボ ノルディスク ファーマの東京・丸の内の本社オフィスの様子。通常なら、数人は出社しているオフィスもこの日はゼロ。電気もついていない

2017年7月24日朝8時30分過ぎのノボ ノルディスク ファーマの東京・丸の内の本社オフィスの様子。通常なら、数人は出社しているオフィスもこの日はゼロ。電気もついていない

社内実践をしている1社が、医薬品や医療機器を手掛けるノボ ノルディスク ファーマだ。東京・丸の内の本社に勤務する、派遣社員や契約社員を除いた300人ほどの社員を対象に、テレワークのトライアルを実施している。

トライアルに参加する社員は、ノートパソコンやスマートフォン(スマホ)などのITを使って、自宅などオフィス以外の場で執務を進める。ある部署では、定例会議を、日本マイクロソフトの統合コミュニケーションサービス「Skype for Business」を使って実施していた。

Skype for Businessを使って定例会議に参加するノボ ノルディスク ファーマの社員

Skype for Businessを使って定例会議に参加するノボ ノルディスク ファーマの社員

自宅などから参加する社員3人が、本社にいる派遣社員と、仕事の進捗状況の共有や今後の仕事についての打ち合わせを進めていた。ネットを使った会議は初めて。会議の開始当初、社員は話し出すタイミングなどに戸惑っていたが、しばらくすると、円滑な会話で、会議を進めていた。

本社の会議室にいる派遣社員とは、画面で資料を共有しながらミーティングを進めていた

本社の会議室にいる派遣社員とは、画面で資料を共有しながらミーティングを進めていた

■柔軟に働ける環境の実現を目指して参加

同社がテレワーク・デイに参加したきっかけは2016年、デンマーク本社から「社員が柔軟に働ける環境作りで改善が必要ではないか」という指摘を受けたことだった。同社グループでは毎年、財務、社員を含めた社会、環境の三つの観点で、企業としての取り組みが適切かどうかを内部的に監査している。

この指摘を受けて、2017年6月、経営陣直轄組織として「柔軟な働き方推進プロジェクト」が発足し、その実現策として、テレワークの社内普及を検討することにした。「ちょうどテレワーク・デイが実施されることを知った。社内で広く取り組んでみるいい機会と考え、参加を決めた」と、プロジェクトのメンバーでもある石丸吹雪社長室シニアパブリックアフェアーズマネジャーは説明する。

同社にはこれまでも社内にテレワーク制度はあったものの、「集中して仕事を進める必要がある社員」と対象を限定していた。そのため「私用を済ませてから仕事を進める」といった用途で広く普及しているとはいえなかった。

テレワーク・デイの参加は2017年6月に発表。社内でも社員が休憩するオープンスペースにポスターを掲示して、参加を呼びかけてきた

テレワーク・デイの参加は2017年6月に発表。社内でも社員が休憩するオープンスペースにポスターを掲示して、参加を呼びかけてきた

そういった状況もあり、プロジェクトではまず、全社員1200人を対象にアンケート調査を実施。テレワークに関する現場での課題を探ることにした。約800人からの回答を集計したところ、「現在の従業員満足度は高いものの、将来、育児や介護に携わったときに、これまで通り仕事をこなせるか不安」といった懸念が少なくないことが判明。柔軟な働き方に対するニーズがあることが見えた。

■調査で見えてきた二つの不安を研修で払しょく

さらに調査では、テレワークを進めるうえで、「ITの使い方」「部下の仕事管理」という二つの不安が、社員の間に根強くあることも分かった。

前者のITの使い方とは、「テレワークをする際、無料のネット環境につないでよいのか」「テレワークの際、情報セキュリティーをどう確保したらよいか」といった不安だ。

そこでプロジェクトでは、7月に入って、テレワーク・デイの参加者を対象に、IT研修を3日間実施した。社外からスマホ経由でインターネットに接続するテザリングの仕方や、社外からVPN(仮想プライベートネットワーク)を使って社内ネットワークにアクセスする手順を解説。テレワーク・デイ当日に、社員がITで戸惑わないように配慮した。

後者の部下の仕事管理に関する不安とは、「部下がテレワークをすると、オフィスで一堂に会しているときのようには、部下の様子がつかめない」といったものだ。

そこでプロジェクトでは、管理職を対象にした研修も別途開催。「テレワーク・デイ当日は、どのようなスケジュールで働き、どのような成果を出すか」を部下と事前にすり合わせておくことや、「テレワーク・デイの当日は、Skypeを立ち上げておき、メッセージをやり取りできるようにする」といった手法を紹介。テレワーク・デイに当たっての管理職の懸念解消に動いた。

プロジェクトは社内の各部署から1人ずつメンバーを募り、11人で進めた。「多様なメンバーが集まったことで、より柔軟な働き方ができるようにしてテレワーク・デイを迎えられた」と、石丸マネジャーは明かす。

その一つが、テレワーク・デイ当日のスケジュールの組み方だ。テレワーク・デイでは、同社の就業時間である7時間15分は働くという条件を設定。それをクリアすれば、「午後3時からの1時間を、私用に使う」といったことが柔軟にできるようにした。

きっかけは「平日1時間の私用のために有給休暇を取得するケースが現場で起きている」という、プロジェクトのあるメンバーからの指摘だった。「テレワークのなかでその私用を済ませることができれば、有給休暇をリフレッシュのために有効に使える」という意見がまとまり、スケジュールの組み方を柔軟にできるようにした。

このほか、多様なメンバーでプロジェクトを進めたことで、「3時間にもなる往復の通勤時間を仕事に振り分けたい」「独身で時間に余裕があると思われがちな独身社員が、体調管理のためにもっと運動する時間を増やしたい」といった声が現場社員から上がっていることがつかめた。

テレワーク・デイの参加はこういった現場の声に応えることも狙う。「テレワーク・デイの後、参加した社員がどんな工夫を凝らして働いたのかを、テレワークの効果とともに探っていきたい」。石丸マネジャーは今後についてこう語る。

(日経コンピュータ 西村崇)

[ITpro 2017年7月24日掲載]

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