ソニー、総合順位ですべて上位、新製品ランキング

2017/7/24 6:30
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日本経済新聞社がまとめた2017年第2四半期新製品ランキングでパイロットコーポレーションの油性マーカー「パーマネントマーカー」=写真=が1位になった。2位はパナソニックの宅配ボックス「コンボ」、3位はティファールの電気ケトル「アプレシア エージー・プラスコントロール0.8L」。上位には最新技術が使い勝手向上につながったり、癒やしや安らぎをもたらしたりする製品・サービスが並んだ。

新製品ランキングは大学教授や企業の担当者、専門家らに委嘱する「新製品評価委員会」が「ライフスタイル」「技術革新」「使い勝手」「健康エコロジー」「価格メリット」「アピール度」の6項目で採点した。第2四半期は4~6月に発売されたり話題になったりした新製品やサービス、施設39点が対象。

パーマネントマーカーは揮発性の低いインクを使い、キャップを外したまま24時間放置しても普通に書ける。使い勝手や技術革新で高得点し、「価格も手ごろで在来品を淘汰しても不思議ではないインパクト」(コミュニケーションプランナー)など、アピール度も高かった。

パイロットコーポレーションの「パーマネントマーカー」

パイロットコーポレーションの「パーマネントマーカー」

JR東日本のクルーズ列車「トランスイート四季島」など、全般にライフスタイル項目で高得点した製品・サービスが上位に目立った。

同項目では2位の「コンボ」と、ベネクス(神奈川県厚木市)の「リカバリーウェア フリーフィールクール」(9位)、フランスベッドの赤ちゃん型コミュニケーションロボット「泣き笑い たあたん」(10位)、日本エイサーの自宅にいるペットと遊べるカメラ「PAWBO+」(12位)、ソニーモバイルコミュニケーションズのプロジェクター「エクスペリアタッチ」(同)、JR西日本のクルーズ列車「トワイライトエクスプレス瑞風」(18位)が4.2点以上を獲得した。

ソニーグループはエントリー製品3点すべてが総合順位で上位に入り復調を印象づけた。

1位はキャップを外した状態のまま24時間たっても、しっかり書き続けられるパイロットコーポレーションの油性マーカーだった。通常のマーカーと同等以上の筆記性能を備えつつ使いやすく改良した。それを汎用品以下の価格で提供する。

ペン先を覆う皮膜成分をインクに加えて揮発を防ぐ仕組みだ。使用時に先端が筆記面と触れると、膜が破れてインク成分がしみ出て文字が書ける。プラスチックなど液体がしみにくい面にはインクが密着し、しっかりした筆跡となる。

頻繁にキャップの付け外しをする手間が省ける。長時間使う際に閉め忘れて書けなくなる心配がない。試用した流通コンサルタントは「一晩外した後でも全く変わらず滑らかに書き出せた。マーカー固有の鼻を突く臭いもない」と納得する。

ITライターは「誰もが経験する、閉め忘れによる不具合をなくす画期的な製品で、マーカーとして久々のヒット商品となりそう」と予想している。

商品研究所長は「面倒なことを嫌う現代人の気分に合う」と評価した。ゼブラ「マッキー」同様に、外したキャップはペン軸後端にはめられる。ペンを長時間使う場合も紛失する恐れがない。

手が当たっても擦れにくくインクが広がらない。機械メーカー役員は「新インクの単純な原理が分かると拍子抜けするが、いち早くそこに着眼して常識を覆した姿勢は見習うべき」と指摘する。

具体的な使い道に関しては様々なアイデアが挙がった。「倉庫や工場、配送や引っ越し業務の現場のほかに学校でも役立つ」、「インクを多色化すれば店頭の販促(POP)広告やアートに」、「家庭でもまとめて小包を発送する際に重宝」などなどだ。

価格は108円で、人気ブランドである寺西化学工業の「マジックインキ」やゼブラ「マッキー」より数十円安い。「これだけの革新性を備えながら、この安さはすごい」と驚くコメントが数多く寄せられた。

ネット通販の拡大、宅配業者の人手不足を背景に急速に消費者の関心が集まった宅配ボックス。2位に入ったパナソニックの宅配ボックス「コンボ」は、既存品の受注急増で生産が追いつかず新製品の発売を約2カ月延期したことで、さらに注目を集めた。

商品研究所長は宅配ボックスについて「時代を象徴した商品だ」とみる。大学教授(商品学)も「宅配業はもはや社会的インフラの位置づけにある」として、宅配業の維持のためには「宅配ボックスの常設は必須だ」と主張する。

コンボは既存品も容量やデザインなど多様な品ぞろえ。新製品は住宅壁埋め込み専用商品、ポストと一体化した商品など戸建て用2種とアパート向け商品の3種。価格(税抜き・工事費別)は6万9500~17万5000円だ。家電製品総合アドバイザーは「パナソニックらしく幅広いニーズに対応している。既存住宅にも簡単に取り付けられるのがいい」とする。

ボックス内に印鑑を取り付け電気を使わずに押印する方式を採用した。ITライターは「電源不要のメリットが大きい」と取り付け工事や維持の手間・コストが軽減される点を評価する。

発売延期になったのは既存品に2016年の1カ月平均の5倍近くの受注が集まったことが要因だが、年間を通しても全体で5倍以上の売上高になる見通しという。

仏ティファールの電気ケトルで7段階の温度設定機能が付く。セ氏60度から100度まで、10度や5度ごとに湯温を指定して沸かすことができる。容量は0.8リットル。好みの温度のまま60分まで保温もできる。色は黒と白の2種類。

3月発売で実売8000~1万円前後。電気ケトルとしては高めだが、予想の倍以上の売れ行きで、追加生産をかけているという。

日用品メーカー役員は「玉露や龍井茶は低めの温度でいれたほうがおいしい。従来は沸騰したお湯を冷ましていたが、湯温が高いと苦みが出る。まさにニーズにマッチした良い品だ」とした。

「お茶やコーヒーにこだわる人が増えており、重宝しそうだ」(コミュニケーションプランナー)、「料理でも湯温の調整で最適な味わいになるレシピが増えており、多くの消費者の要求に合う」(大学名誉教授・商学研究)など利便性が高く評価された。

ティファール製品を世界的に扱う、仏グループセブ日本法人の製品担当者が提案した機能となる。商品研究所長は「まさに日本でわかる利用者の不満を拾い上げ、最適な解決策を講じた」とした。

化粧品企画会社社長は「ティファールはフライパンなど他の家事用品でもブランド力が高く、人気が出そうだ」とみる。家電製品総合アドバイザーは「国内電気ケトルでトップシェアの地位をさらに固めるだろう。保温機能は2杯目用に便利な一方、60分で切れて節電や鮮度面でも配慮されているのが良い」とした。カラー追加を期待する声もあった。

ダイハツ工業の「ミライース」は低燃費、低価格を売り物にした初代から6年ぶりに全面改良した。自動ブレーキを歩行者検知式にするなど安全装備の水準を上げた。

大学教授(商品経済学)は軽自動車ユーザーには地方在住の高齢者が多いことを指摘し「高齢者による事故が社会問題化する中、魅力的な商品だ」とみる。機械メーカー役員も「自動車を足代わりに使う人にとって自動ブレーキは必要だが、機能追加で高価になっては意味がない」とし、90万円台から自動ブレーキ付き車が買えることを評価。商品研究所長も「時代の要請に対応した動き」との見方だ。

発売1カ月で、月販目標台数の2倍を超える2万台の受注を集めた。安全装備、低価格のほかにも、乗り心地などの基本性能向上を支持する声も多いという。

自動車評論家は「実燃費ではライバルとなるスズキのアルトと同水準と思われる」としながら「低燃費を維持しながら静粛性を上げて、街中での発進・加速性能を高めている」と乗り味向上を指摘する。実際は100万円超のグレードが売れ筋になると予想するが、それでも「装備水準が上がっているため割安感がある」とみる。

6位に入ったのはSUBARUの多目的スポーツ車(SUV)の「スバルXV」。歩行者保護エアバッグと自動ブレーキや車線維持支援機能などを盛り込んだ運転支援システム「アイサイト」を標準装備する。国土交通省などが実施した安全性能評価で2016年度の「衝突安全性能評価大賞」を受賞した。

家電製品総合アドバイザーは「社名を国際的に親しみのあるSUBARUに変更後、初めての新型車で安全=SUBARUをアピールできた。安全性だけでなく快適な走りが楽しめるとのコンセプトもいい」とする。

車の根幹となる車台には主力車「インプレッサ」で高い評価を得た「スバルグローバルプラットフォーム」を採用。悪路で四輪の駆動力やブレーキを統合制御するシステムも一部グレードを除き装備したため、自動車評論家は「深いぬかるみを驚くほど簡単に脱出できるなど悪路の走破性能が一気に向上し、快適性も高まった」と評価した。

月2200台の販売目標に対して発売1カ月で1万1085台を受注する好調なすべり出し。全高を立体駐車場に入る1550ミリメートルに抑え、価格は約214万円からとユーザーの間口を広げたことも奏功し、20代や30代など幅広い層から支持される。

ソニーの「ブラビア A1シリーズ」は有機ELパネルの特性を生かした高画質や、テレビ画面から音が聞こえる独自の音響システムなどが高く評価された。背面に設置した駆動装置が画面を振動させて音を出し、テレビスタンドに内蔵した低音用スピーカーと連携して映像と音声の一体感を高める。

画面周囲の枠をぎりぎりまで細くし、正面からスピーカーやスタンドが見えないフォトスタンドのようなデザインも注目された。映像だけが浮かんでいるように見える効果を狙う。実売価格は65型が86万円程度、55型が54万円程度。

家電製品総合アドバイザーは「画面から音を出す新技術を搭載し、高精細な4K映像にふさわしい臨場感が楽しめる」点を支持。AV評論家は「有機ELでなければ実現できないスマートなデザインと新しい音響システムにより新時代のテレビとしてアピールできている」とみる。

「多くの消費者が不満を感じている薄型テレビの音の改善に真っ向から対応した」(大学名誉教授・商学研究)、「次世代テレビのあるべき姿を具現化し、ソニーは次に何をするだろうと期待させる商品」との声もあった。

8位の「トランスイート四季島」はJR東日本が5月に営業運転を始めたクルーズ列車。展望車、ラウンジ、ダイニングカーなどと、スイート個室を備えた10両編成の専用車両を使い、主に2泊3日、もしくは3泊4日の行程で東日本を周遊する。3泊4日コースは青函トンネルを越えて北海道にも足を伸ばす。

家電製品総合アドバイザーは「同じ駅に帰ってくる、乗ることが目的の豪華な旅行体験は斬新。和のテイストのダイニングカーなど異空間のワクワク感が味わえる」と分析。7月31日まで受け付け中の来年4~6月のツアー料金は3泊4日(2人1室)で1人74万~95万円するが、大学教授(商品学)は「海外旅行がしにくい世代や、時間のない人にも受け入れられる」とみる。大学教授(流通サービス)は「予約の取りにくさも希少価値を求める消費者ニーズに合致する」という。

評価委員は乗客の立場だけでなく停車駅での受け入れイベントなどの役割にも注目する。日用品メーカー役員は「名所旧跡がマスコミやSNS(交流サイト)で紹介される」ことが地域活性化効果を生むと指摘。化粧品企画会社社長は「50億円以上した車両の建造費や、ベッドが採用されたメーカーのキャンペーン販売など経済の起爆剤になる」と期待する。

9位にはベネクス(神奈川県厚木市)の疲労回復を狙ったウエア「リカバリーウェア」の夏用商品「フリーフィールクール」が入った。

プラチナなどの鉱物を練り込んだ独自素材を使ったリカバリーウェアは順調に伸びているが、体が暖まる効果があることから冬場に販売が偏りがちだった。今回はメッシュ状に加工することなどで通気性を3倍に高めて夏にも着やすくしたのが特徴だ。

大学教授(商品学)は「メッシュ素材で使い心地がいい」と使用感を評価。大学教授(商品経済学)も「血行促進と冷感機能というトレードオフの関係にある問題を解決した開発力は評価できる」と夏向けに商品開発をしたことを買う。

流通コンサルタントは「これまではただ寝るだけだった睡眠時間を、着るだけで効果的に利用できるのがありがたい」と製品のコンセプト自体が面白いとする。

フリーフィールクールの価格は男性用シャツ1万800円など。好調な出足で、同社の7月の全体の売上高は昨年を3割程度上回る勢いという。ただ、商品研究所長は一段の拡大には「もう少しファッション性があってもいい」とみている。

赤ちゃん人形型で手足にセンサーを内蔵し、手に触れると泣き、足に触れると笑う。認知症の高齢者などの笑顔や会話を増やし、世話をされる一方でなく自らが働きかけることで自信にもつなげる狙いがある。認知症の度合いが中程度の人に向く。5月発売で一体1万5984円。

大学教授(商品学)は「何気ない会話を促すことで、自信を持つきっかけにするのは大切だ」と評価する。AV評論家は「手軽に抱けるよう軽くしながら、手応えは確保するなど細かな配慮がある。比較的安価な点も評価したい」とした。一方で、泣き笑いするだけなので「中途半端に感じる」(機械メーカー役員)との見方もある。

[日経産業新聞 2017年7月21日付・24日付]

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