レコードの魅力は「音質」48%
第326回解説 編集委員 木村恭子
国内外でアナログレコードの人気が高まっていることを受け、2018年春にはソニー・ミュージックエンタテインメント(SME、東京)がレコードの生産を再開する予定です。

今後、レコードを買いたいかどうかを電子版の読者にお聞きしたところ「はい」との回答が42.7%を占めました。
コンパクトディスク(CD)やインターネットの音楽配信が普及した現状でも「オリジナルがアナログの旧譜などはレコードで買いたい」(49歳、女性)との思いがあるほか、「レナード・バーンスタイン指揮のニューヨーク・フィルのショスタコーヴィチ交響曲5番(1959年録音)を再販してほしい」(69歳、男性)といった具体的な要望もありました。
また、「汚れをとったり、ホコリをとったり、手間がかかると愛着がわく」(62歳、男性)とのコメントもあった一方で、「いいえ」(36.1%)と答えた読者の中には「昔、ホコリによるノイズに苦労した経験から、もう使いたくない」(61歳、男性)とする正反対の反応も。
加えて「我々はギリギリレコードをリアルタイムで使ったことのある世代」と語る読者(40歳、男性)が「レコードは場所を取り保管場所に困るので、CDで十分です」と指摘するスペース問題をレコード購入のデメリットとして挙げる読者も少なくありませんでした。
「わからない・どちらともいえない」(21.2%)を選んだ読者(56歳、男性)は「好きなミュージシャンがアナログレコードを制作するなら興味がある。ただ、問題は昔に比べて生産量が少ないため、価格が高いことです」と、レコードの値段の高さを問題視していました。
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デジタル全盛の時代にブームとなっているレコードの「魅力」については、「デジタルとは違う音質」が48.5%と読者から最も多くの支持を集めました。
回答総数 | 726 |
男性 | 95% |
女性 | 5% |
20代以下 | 3% |
30代 | 3% |
40代 | 13% |
50代 | 28% |
60代 | 38% |
70代 | 13% |
80代以上 | 2% |
その具体的な違いについては「少々ノイズがあったとしても、レコードの音の深みに勝るデジタル音源はないと思います」(31歳、男性)、「デジタルの刺すような鋭さがない」(71歳、男性)といった声が寄せられました。
また、次に多かったのは「デザイン性のあるジャケット」(16.4%)を選んだある読者(64歳)は「LPレコードアルバムは、ジャケットのデザイン効果も大きいと思います。音質は機器メーカー、LPレコードは結構デザインで買っていたような気がします。聴いている間、ジャケットを立て掛けていたりしたものです」と思い出深い様子です。
「懐かしさ」(13.9%)を挙げた読者は年齢の高い層が多く、「年をとってからは、若い頃の音楽さえ聴く機会が少なくなりましたが、今度ソニーで発売と聞き、思わず昔の音が聞ける!ぜひ買ってみたいと妻とも話しております」(74歳、男性)とのことです。
また、「その他」(2.6%)を選んだ読者からは、次のようなレコードの魅力が寄せられました。
「レコードは、音楽を聴くためにジャケットから盤を引き出し、ターンテーブルに乗せ、ホコリを取り、針を乗せるまで一連の『儀式』が必要。音楽を聞く行為を意識することになるのが魅力だと思う」(54歳、男性)
何か、ゆったりとした時間が流れている気分になりますね。
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次回調査は29日の予定です。
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