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府県越えタッグ 周遊誘う インバウンド関西(1) 境界を壊せ
瀬戸内連合でPR/乗り継ぎ商品続々

2017/7/19 2:30
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関西へのインバウンド(訪日外国人)が衰えない。2016年に大阪府を訪れた訪日客数は過去最高を更新、伸び率では東京都をしのぐ。足元も勢いは続いている。国境を越えて旅人が次々と押し寄せ、関西の隅々に広がり始めている。受け入れ側が行政区分や業界、慣習など「境界」(ボーダー)に縛られず、自在に闊達に連携すれば好機はさらに広がりそうだ。

山の中腹にある「セトレハイランドヴィラ姫路」で景観を楽しむシンガポール人のヨーさん一家(兵庫県姫路市)

「日本の棚田は絵画のように美しい。いろりでのしゃぶしゃぶも最高だ」。米国人弁護士のジョージ・チューローさん(47)が7月初旬、家族と泊まったのは奈良県宇陀市の田畑と山に囲まれた「棚田の宿 ささゆり庵」。築200年のかやぶき屋根の民家を改装した宿でくつろいだ。

チューローさん一家の行程は全16日間。東京と京都では人の多さに気疲れしたというが「ここは静かで本当の日本のような気がする」と満足げだ。富裕層向けの旅行企画会社の紹介を受けて立ち寄った。1グループが2連泊で平均20万円は使う高級な宿だが、宿泊客の7割は外国人だ。

東京、京都、大阪をつなぐゴールデンルートに飽きたらず、地方を訪れるリピーターのインバウンド客が増えてきた。地域や府県の境界を持たない彼らは日本らしさを求め、遠くへと足を運ぶ。

「このホテルは眺望と夜空の美しさが楽しみ」。シンガポール人の大学教授、ヴィクター・ヨーさん(53)は7月、初めて四国を訪れた後、兵庫県姫路市の山の中腹にある「セトレハイランドヴィラ姫路」に泊まって姫路城を観光した。ホロニック(神戸市)が運営する同ホテルは地元食材を使った料理と景観の良さが外国人客に注目されている。

大阪や京都からインバウンド客を奪うのでなく、地域の資源を生かしてどう呼び込むか。企業と自治体にとってカギとなるのが広域連携だ。

関西国際空港から入国し神戸や淡路島を通って香川県へ――。兵庫県立美術館(神戸市)、金刀比羅宮(香川県琴平町)、地中美術館(同県直島町)を巡るツアーでアートなどを楽しむ外国人客が増えてきた。人気に一役買っているのが兵庫や広島、香川や徳島などの7県で16年4月に発足した「せとうちDMO(観光地経営組織)」だ。

アートやクルーズなど6分野で瀬戸内の魅力をまとめた動画を共有サイト「ユーチューブ」で公開してきた。再生回数は公開から10日間で358万回に達し、海外でのPRに貢献した。「異文化に好奇心を持つ旅行者が2度、3度と訪れたくなる場所に」と村橋克則事業本部長は意気込む。

自治体は広域観光や連携に目を向ける。16年の外国人延べ宿泊者数が関西で唯一前年を下回った兵庫県。20年の外国人客数を16年比で倍増させる目標の達成に向けて、県内の神戸と姫路、日本海側の城崎温泉をつなぐ「ひょうごゴールデンルート」を新たな観光コースとして打ち出した。今年度からせとうちDMOへの職員派遣も始めた。

交通機関も広域観光にアクセルを踏む。神姫バスグループ(兵庫県)や琴平バス(香川県琴平町)など全国の観光バス事業者9社は訪日客向けに複数のバスを乗り継ぐツアーを始める。交通の利便性が高まれば中山間地も工夫次第で訪日客を呼び込める環境が整う。

JR西日本は1日、JR九州と協力し、関西から九州北部までの新幹線や特急列車が7日間乗り放題となるインバウンド向け切符「山陽山陰北部九州パス」を発売した。JR西は「関西旅行のプラスアルファとして山陽や山陰に足を運んでもらい沿線を活性化したい」と期待する。

「ビヨンド・ゴールデンルート(ゴールデンルートを越えて)でいきたい」と語るのは石見利勝・姫路市長。「越境」の発想と連携が競争を勝ち抜く決め手となる。

■訪日客消費、関西がけん引

2016年の関西のインバウンド消費総額は前年比14%増の4827億円と全国の伸び(8%)を上回った。飲食店やホテルの改装に伴う資材生産や雇用を含め「関西経済の好循環を生み出す要因として働いている」(日本総合研究所関西経済研究センターの石川智久センター長)。

関西の外国人延べ宿泊者数は大阪が1位、京都が2位だが、伸び率は和歌山や奈良が高い。関西以外では広島や香川など瀬戸内6県が179万人と3割近く増えており地方の伸びしろは大きい。

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