建設業の「人手不足倒産」が高水準
人手不足を主な原因とする倒産の件数が、建設業はこの4年ほど他業種と比べて高い水準で推移していることが、帝国データバンクの調査で分かった。「人手不足倒産」の集計を開始した2013年1月から17年上半期までの4年半の累計で建設業は105件と、全体の36.2%を占める。この間、ほかの要因も含めた全ての倒産件数では、建設業の割合は常に2割程度にとどまっている。

従業員の離職や採用難など、人手を確保できなかったことが原因で法的整理した企業を、帝国データバンクでは人手不足倒産と定義。同社が裁判所への申立書や弁護士への取材などで確認し、集計している。建設業の場合、必要な技能者を確保できなかったことによる工事中断で資金繰りが悪化し、倒産に至ったケースなどが該当する。
4年半累計の人手不足倒産を細分類した業種別で見ると、現場の職人不足が慢性化している建設業の各業種が目立つ。上位10業種のうちの6業種が建設業だ。15件の木造建築工事業を筆頭に、13件の土木工事業、10件の建築工事業などが並ぶ。

細分類で最も多かったのは、サービス業に分類される老人福祉事業で19件。低賃金や劣悪な職場環境を背景に、介護スタッフの定着率低下などが影響し、業績の改善が見込めず倒産に至ったケースが多いのは、建設業の末端の下請け企業に似ている。
人手不足倒産全体に占める建設業の割合を半期ごとに見ると、14年下半期の54.3%をピークに減少傾向にある。「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(品確法)の改正など「担い手3法」が14年6月に成立したことの効果が表れているとみられる。
ただし、直近の今年上半期の建設業の人手不足倒産は13件と、前年同期を18.2%上回った。
(ライター 山崎一邦)
[日経コンストラクションWeb版 2017年7月14日掲載]
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