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自動運転に求めるのは「履歴」 事故原因の解析現場
自動運転が作る未来(15)

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2017/8/10 6:30
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日経BPクリーンテック研究所

 国内の交通事故件数はこの10年、減少傾向にある。警察庁交通局が公開する統計資料によれば、国内の交通事故件数は2006年の88万7267件が、2016年には53万6899件に、交通死亡事故件数も2006年の6208件から2016年の3790件へと、それぞれ約6割に減少した。これらの事故削減は、自動ブレーキに代表される先進運転支援システム(ADAS)などの自動運転技術の広がりがもたらしたものなのだろうか。

 国内の交通事故 を総合的に分析している交通事故総合分析センター(ITARDA)の業務部長の金丸和行氏と、研究部特別研究員兼研究第一課長の西田泰氏に、交通事故の現状分析と交通事故現場で得た知見から生まれる自動運転開発に対する期待や要望を聞いた。(聞き手、日経BP総研 クリーンテック研究所 林哲史)

――国内の交通事故は減少傾向にある。これはADASなどの自動運転技術の普及と関係しているのか。

金丸 国内の交通事故に関係する統計データの調査項目に、事故車が自動ブレーキなどのADAS機能を搭載していたかどうかの項目は含まれていない。このため、統計データからは「ADASが事故削減に効果がある」と言うことはできない 。

 一方で、多くの事故原因を調査してきた現場の感覚でいえば、「自動車の安全性能が高くなったことによって死亡事故が減ってきた」とハッキリと言える。

西田 例えば、以前なら死亡事故になってしまうような厳しい状況の事故でも、今のクルマはドライバーや同乗者が死なずに済むケースが増えている。正面衝突の場合、昔だったら重傷者か死者が出るのが当たり前だった。今は違う。車体はつぶれるが乗員の被害は小さい。プリテンショナー、エアバッグ、サイドエアバッグなどの安全装置によって、被害が軽減されている。こうした工夫のおかげで、今のクルマは事故の際に乗員が致命傷を負わないようになりつつある。

金丸 指摘したいのは、クルマが装備する各種の安全装置やADAS機能だけが交通死亡事故を削減しているわけではないことだ。交通事故の原因はドライバー、自動車、環境などのさまざまな要因が複雑に絡み合っている。それぞれの要因を取り除くために、多くの方々がそれぞれの立場で努力を続けてきたことが、全体として事故の削減に結びついたと見るのが適切だろう。例えば、交通安全教育や飲酒運転の取締りの強化だ。

――自動ブレーキを装備しているかどうかは、事故を起こした車種が分かれば推定できるのではないか

金丸 現時点では、どの車種が自動ブレーキを装備しているかを一覧できる仕組みがない。ただし、自動ブレーキに関しては、義務化や損害保険関連での新たな動きもあるので、関連団体の協力の下で、自動ブレーキ装着の有無を調査項目に含めていきたい。

西田 とはいえ、仮に事故車が自動ブレーキを装備していたとしても、事故発生時に自動ブレーキが効果を発揮していたかどうかは別の話となる。自動ブレーキ搭載車であっても、ドライバーのブレーキングのミスで事故を起こしてしまうこともあるだろう。

 一方で、事故を起こしたとしても、自動ブレーキのおかげで事故被害が小さくなることもある。また、ブレーキングしたという記録が残っていたとして、それが自動ブレーキの動作かドライバー操作かについては、記録が残っていたとしてもその情報は分析センターに入らないので分からない。統計データとして分析する場合は、どのような状況での事故なのかを細かく見ていく必要があると考える。

■日本で多い対歩行者事故

――2017年6月にITARDAが公開した交通死亡事故状況の海外比較を見ると、国によって事故の傾向が異なっていることが分かる。これは自動運転技術の開発においても安全性を高めるには地域特性をかなり盛り込む必要があるということなのか。

各国の交通手段別交通事故死者数の構成率(2015年) (出所:交通事故総合分析センター、「交通事故の国際比較(2015年)」、2017年6月)
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各国の交通手段別交通事故死者数の構成率(2015年) (出所:交通事故総合分析センター、「交通事故の国際比較(2015年)」、2017年6月)

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