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自動運転の「交通事故削減効果」 データで読み解く
自動運転が作る未来(14)

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2017/7/27 6:30
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日経BPクリーンテック研究所

 自動運転で解決が期待される社会課題の一つに、交通事故件数の大幅削減がある。実際、自動運転開発を進める企業の多くが、自動運転技術の開発目的に交通事故削減や交通事故死者数ゼロの達成を掲げる。交通事故という社会課題に対し、自動運転技術の開発・普及は効果的なソリューションとなり得るのだろうか。

■交通事故原因、約9割は「ヒューマンエラー」

 自動運転開発を手がける企業が「自動運転技術が普及すれば交通事故は少なくなる」と主張する根拠の一つに、現在の交通事故原因の約9割がヒューマンエラーという調査データの存在がある。

 代表的なのが、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が2015年2月に発表した米国を対象とした調査データである()。これは2005年7月から2007年12月までに全米で発生した交通事故を対象とした調査「The National Motor Vehicle Crash Causation Survey (NMVCCS)」のデータを基にしたもので、事故原因の約94%がドライバーに起因していたと分析している。

表 NHTSAが2015年2月に発表した調査結果。事故の主要原因がドライバー、車両、環境のどれに関連しているのかを分析したところ、約94%がドライバー関連だったという。(出所:NHTSA、“Critical Reasons for Crashes Investigated in the National Motor Vehicle Crash Causation Survey”、February 2015)
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表 NHTSAが2015年2月に発表した調査結果。事故の主要原因がドライバー、車両、環境のどれに関連しているのかを分析したところ、約94%がドライバー関連だったという。(出所:NHTSA、“Critical Reasons for Crashes Investigated in the National Motor Vehicle Crash Causation Survey”、February 2015)

 日本ではどうだろうか。NHTSAのように、事故原因をドライバー、車両、環境に分類したものは見当たらないが、ドライバーの法令違反をヒューマンエラーと見なすと、米国とほぼ同じ状況にあることが統計データから類推できる。警察庁が公開している交通事故統計を基に、ドライバーの法令違反が事故原因だった死亡事故件数を全死亡事故件数に照らしてみると、その割合は約9割で推移していることがわかる(図1)。

図1 日本の交通死亡事故における運転者が原因となった事故の推移。2006 ~2016年の間、減少傾向にあるものの、原付以上の車両の運転者による死亡事故の割合は約9割で推移している(図:警察庁交通局が公開している統計資料を基に作成)
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図1 日本の交通死亡事故における運転者が原因となった事故の推移。2006 ~2016年の間、減少傾向にあるものの、原付以上の車両の運転者による死亡事故の割合は約9割で推移している(図:警察庁交通局が公開している統計資料を基に作成)

 交通死亡事故をもたらす原因となった法令違反にはどのようなものがあるのだろうか。警察庁の統計データによると、事故件数の多い順に「漫然運転」「脇見運転」「運転操作不適」「安全不確認」と続く(図2)。

図2 死亡事故の原因となった法令違反の主な違反行為(出所:警察庁交通局「平成28年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」)
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図2 死亡事故の原因となった法令違反の主な違反行為(出所:警察庁交通局「平成28年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」)

 これらの事故原因のうち、「運転操作不適」は2006年から2013年までの7年間で603件から387件まで減少したものの、2014年以降は400件を下回ることはなく、減少どころか、今後増加する気配さえある。この運転操作不適は、アクセルとブレーキのペダルを踏み間違ったり、カーブでハンドルを切るのが遅れたり、ブレーキを十分に踏み込めなかったりしたケースが該当する安全運転義務違反行為のことである。

 交通死亡事故に直結する法令違反である「漫然運転」「脇見運転」「運転操作不適」「安全不確認」は安全運転義務違反に含まれる。いずれも、ドライバーのうっかりミスであり、高度な自動運転技術が実装されていれば回避できそうだ。

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