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急逝 西武・森コーチが残した「ブルペン道」
編集委員 篠山正幸

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2017/7/11 6:30
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現役コーチのまま、6月28日、42歳の若さで急逝した西武・森慎二さん。中継ぎのタイトルを獲得した現役時代から、ブルペン待機の投手陣の調整・準備に当たっていた現在まで、短すぎた人生のすべては投手陣の黒子的存在の地位向上にささげられた、といえるかもしれない。

試合前に森さんの死を悼み、黙とうする辻監督(左端)ら西武ナイン=共同

試合前に森さんの死を悼み、黙とうする辻監督(左端)ら西武ナイン=共同

通算273ホールドで1位の山口鉄也(巨人)に次ぐ、249ホールド(ともに9日現在)をマークしている宮西尚生(日本ハム)が言ったことがある。「我々は目立ってはいけないポジションなので」

1イニング、あるいはワンポイントの救援でぴしゃりと抑えて当たり前。注目されるのは打たれて、試合の流れを悪い方向に変えてしまったときだけ、というのである。これはしんどい。

中盤までに奪ったリードをいかに守り抜くかが勝負の分かれ目となる現代野球で、その重要性は増す一方だが、年俸を含む具体的な評価が高まるためには長い年月を要した。

セ、パ両リーグがリードや同点の状態を保つなどした中継ぎ投手を表彰対象としたのは1996年のこと。パ・リーグはホールドポイントとしていたのに対し、セ・リーグは独自の算定式を用いて数値化した「リリーフポイント」で評価していた。このバラバラの"事始め"自体、中継ぎという仕事の評価のあやふやさを示していたといえる。

オールスターへの選出枠として先発、中継ぎ、抑えの3区分が設けられるようになったのは2001年のことだった。

中継ぎ投手の地位向上を意識

西武現役時代の森さん(02年9月)=共同

西武現役時代の森さん(02年9月)=共同

森さんが西武で活躍した時期は、こうして中継ぎに光が当てられ始めた時期に当たっていた。

02年に32ホールド、03年に26ホールドで最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。優勝した02年は71試合に登板。試合のかぎとなる中盤から終盤のしのぎ合いで、長身の右腕から投げ下ろされる速球が威力を発揮、優勝の立役者となった。

7月4日。森さんの告別式が行われた都内のお寺に、生前の名場面の映像が流されていた。近鉄の本塁打王、タフィー・ローズを剛速球で見逃し三振に打ち取るシーンとともに、あるシーズンの契約更改の映像があった。

「若干届きませんでしたけれど、来年もタイトルをとって中継ぎの評価を高めていきたい」。来年も、というところからすると、02年か03年のシーズン終了後の契約更改だったと思われる。「届かなかった」とは希望額のことか、切れのいい大台のことだったのかわからないが、中継ぎ投手全体の地位向上を意識していたことがうかがえる。

大リーグ挑戦、独立リーグを経て15年に古巣・西武の投手コーチとして復帰。亡くなるまで、救援陣をみるブルペンを担当していた。

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