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ヒアリ、大阪港に女王アリ 近隣住民「子供が心配」

2017/7/5 22:00
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強い毒を持つ南米原産の「ヒアリ」が国内各地で見つかっている。4日には大阪港で巣とみられる穴と女王アリの個体が確認された。ヒアリは定着すると駆逐するのが難しい。国土交通省や環境省は国内で繁殖している恐れがあるとして、港湾を管理する自治体に警戒と対策強化を求めている。

■国内で繁殖の恐れ

小学校の廊下に貼られたヒアリへの注意喚起の紙(4日、大阪市住之江区の南港光小学校)

小学校の廊下に貼られたヒアリへの注意喚起の紙(4日、大阪市住之江区の南港光小学校)

環境省は6月30日、大阪港でヒアリに似た毒を持つ「アカカミアリ」が見つかったことを受け緊急調査を実施。約100匹のアリを採取した。殺虫剤をまいた地面を3日に再び調べたところ、アスファルトの割れ目から女王アリや羽アリを含む約50匹の死骸が出てきた。

国交省は女王アリの確認を受け、全国の933港を管理する自治体などに対し、発見時の速やかな連絡を要請した。ヒアリは生息地の中国などから輸入される貨物に紛れて上陸したとみられ、同省は東京港や横浜港など中国との定期貨物便を運航する63港にはコンテナを扱う区域「ヤード」とその周辺に殺虫餌を設置するよう求めた。

ヒアリは5月26日に兵庫県尼崎市で初めて見つかって以降、神戸、名古屋、大阪の各港で見つかっている。九州大学の村上貴弘准教授(行動生態学)は「続けて見つかったのは中国などで爆発的に増えているためではないか」と話す。

国内に定着した可能性について、国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室の五箇公一室長は「現状では評価できないが、潜伏していて10年後に爆発的に増える可能性もある」と予測。港周辺の緑地や公園の警戒態勢の強化が必要と訴える。

■保育園・学校に不安広がる

大阪港は団地や学校など生活エリアとも近く、保護者や教諭らは「子供が刺されないか」と警戒。国や大阪市は水際での駆除に懸命だ。専門家は「もし発見しても触らないで」と呼びかけている。

「学校周辺にいてもおかしくない」。外国船のコンテナが陸揚げされる大阪港のコンテナターミナルから1.5キロにある大阪市立南港光小学校(同市住之江区)。岡田治美校長(59)は、ヒアリ確認のニュースを見て表情を曇らせた。

神戸港でヒアリなどが確認されたことを受け6月下旬、ヒアリの写真付きで「気をつけて!!」と注意喚起するポスターを校内に張り出したばかり。「プールの授業で水着になったときにかまれるかもしれず怖い」(5年女子)との声は多く、岡田校長は「アリの特徴を児童や保護者に伝え、被害が出ないよう細心の注意を払いたい」と話す。

大阪港では6月末、別の有毒アリ「アカカミアリ」も発見された。同区内の保育園は園庭に殺虫剤を散布し、園児にアリを含めた昆虫に触らないよう伝えたといい、女性園長は「散歩や外遊びを減らすことも考えないといけない」と懸念する。

住民にも不安は広がり、コンテナターミナル近くの団地に長年住む主婦(71)は「恐ろしいので早く駆除してほしい」。幼い2人の子供がいる同区の主婦(35)は、「虫取りと砂場遊びが大好きなので、大人が目を離した時にかまれてしまうかも」と話した。

大阪港で見つかった女王アリ=環境省提供

大阪港で見つかった女王アリ=環境省提供

大阪市は4日、コンテナターミナルを利用する運送業者など約50社・団体に「似たアリを見つけたら連絡して」との依頼文書をFAXやメールで送信。また5日に危機事態連絡調整会議を開き、市の危機管理室が中心となって港湾局や教育委員会などの担当者で安全対策などを確認する。

ヒアリの生態に詳しい琉球大学の辻和希教授によると、ヒアリの大きさは個体差があり、「大きさが不均一なアリの群れを見たら注意が必要」と指摘。刺された場合、海外では1~2%の人が呼吸困難などのアレルギー症状を起こすとされ「容体を注視し、異常があれば速やかに病院で診察を受けてほしい」と話している。

▼ヒアリ 体長が2.5~6ミリほどの小型のアリで、体は赤茶色。熱帯原産だが、亜熱帯や温帯でも生息できる。腹にある毒針で刺されるとやけどのような激痛が生じるため「火蟻(ひあり)」の名がついた。ショック症状が出ると死ぬこともある。
 在来のアリと競合すると、巣を襲って全滅させる。「世界の侵略的外来種ワースト100」に分類されており、環境省は2005年に特定外来種に指定した。
 ヒアリの女王アリは1日に1000個以上の卵を産むとされ、いったん定着すると駆除が難しい。米国では経済的な損失が年間に数千億円と試算されている。
01年に侵入が確認されたニュージーランドは1つの巣に1億円以上を投じて2年がかりで根絶に成功した。オーストラリアや中国でも多額の費用をかけているが根絶できていない。

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