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抵抗小さい水中姿勢 競泳・平泳ぎ お家芸の強み

渡辺は腕、女子は脚で加速

水泳の世界選手権が14日からハンガリーのブダペストで行われる。競泳は23日に開幕する。日本の有望種目の一つが平泳ぎ。今回は男子200メートルで世界記録保持者の渡辺一平(早大)、その渡辺に日本選手権で勝った小関也朱篤(ミキハウス)に金メダルの期待がかかる。北島康介さんが五輪2大会連続2冠に輝き、リオデジャネイロ五輪でも女子200メートルで金藤理絵(Jaked)が優勝した「お家芸」の強みはどこにあるのか。

渡辺は腕のかき始めで速度をグンと上げられる=共同

総じて日本の平泳ぎ選手は「(水中で受ける)抵抗が小さい姿勢を作れるのが特長」と国立スポーツ科学センターで競泳の映像分析を担う松田有司・研究員は指摘する。

水中では速度の2乗に比例して抵抗を受けるとされる。「スピードを上げても、抵抗を少なくする技術がないと相殺されてしまう。こうした緻密さが日本はうまい」と話すのは、渡辺を指導する奥野景介・早大総監督。手足で加速する時間だけでなく、グライダーのように慣性で伸びる時間も長いのが「平泳ぎの面白さ」とも。推進力だけでなく効率の良さでスピードを維持して、世界と伍(ご)してきた。

速度を上げるには、ひとかきで進む距離を長くするか、ストロークにかける時間を短くするかの2通りがある。100メートルは後者の傾向が強く、ハイピッチ化が著しい。だがそれだけでは押し切れない200メートルは、ストロークを減らす日本の泳ぎが生きてくる。

効率の良い平泳ぎが基本として身についているのは「世界一になった北島というモデルが当たり前にあることが大きい」と奥野総監督はいう。流線形の水中姿勢に優れた北島さんは加速の回数=ストローク数は少なくても、スピードで劣らなかった。加えてキックが強いため、ターンのたびに相手を引き離せた。手本に恵まれ、「速く泳ぐならこれは当然という前提、初期値が高い」と奥野総監督。基本に忠実で、理にかなった泳ぎが以降の世代にもしっかりと引き継がれている。

水中姿勢に優れる北島康介さん(上)は減速が少なく、強いキックも生かせた

こうした土台に選手それぞれの強みが加わる。渡辺と小関はそれぞれ193、188センチの長身。細く長く、抵抗を受けにくい理想的な体形だ。共通するのは「腕のストロークのうまさ。かき始めてすぐに速度がポンと上がる」と松田氏。肘が下がらず、素早く水をつかむ技術があってこそだ。

渡辺らが"腕型"なら、女子の日本代表である青木玲緒樹や鈴木聡美(ともにミキハウス)はキックで加速する"脚型"だ。股関節の柔らかさが持ち味で、キック後の速度を測定すると男子より高いこともあるという。「よくそんな角度で足を当てられるな、と感心するほどうまく水をとらえる」

男子200メートルは渡辺が1月に2分6秒台を出して一歩先んじたが、それに次ぐ7秒台の選手がひしめいている。最終目標とする2020年東京五輪優勝につなげるには、「5秒台が現実的な標的」と奥野総監督は見据える。そのため、習得に時間を要する下半身の筋力アップに取り組み始めている。3年先の最終ゴールに向け、今夏、どこまで未踏の領域に踏み込めるか注目だ。

(岸名章友)

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