スポーツ > 格闘技 > 駆ける魂 > 記事

駆ける魂

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

強敵求め未踏の4階級制覇 藤岡奈穂子(上)
女子ボクシング世界王者

2017/7/10 17:15
共有
保存
印刷
その他

 トップボクサーたちが追い求めるロマンの一つ、複数階級制覇。日本では井岡一翔ら5人が世界で3階級を制しているが、実はそれを上回る4階級制覇チャンピオンが女子にいる。

 藤岡奈穂子、41歳。国内最高の女子ボクサーと評価される実力者は今年3月、4本目となる世界ボクシング協会(WBA)フライ級のベルトを奪取した。ただ、「反響? なかなか食いついてもらえませんね」と本人が漏らすように、輝かしい拳歴の内実は日の当たらない女子ボクシングの苦難に満ちている。

目の回るような階級変更は女子ボクシングだからこそ

目の回るような階級変更は女子ボクシングだからこそ

 最初のタイトル獲得は2011年、下から2番目に軽いミニフライ級(上限47.6キロ)だった。2度防衛後、2階級制覇を狙って挑戦したのは、何と3階級も上のスーパーフライ級(同52.1キロ)。階級を1つ上げても2つ上げても相手が見つからず、日本人王者に苦肉の挑戦だった。

 3本目のベルトは1階級下げてフライ級で狙ったが、敵地ドイツでプロ初黒星。すると次のチャンスはフライ級より2階級上のバンタム級(53.5キロ)でつかんだ。そして今年、再び2階級下のフライ級に戻って4階級制覇を達成した。

 「もう、自分のベストの階級がどこなのかも分からない」と苦笑いする。減量の影響を軽減するために1つずつ階級を上げていくのが、通常の複数階級制覇がたどる道。藤岡の目の回るような階級変更は、女子ボクシングだからこそだ。

 08年に日本ボクシングコミッションが認可した女子だが、選手数はざっと100人弱。男子の20分の1未満しかいない。「対戦相手が変更になったり、試合が流れたりしたことは何度もある」。世界戦といえどもテレビ中継されない女子で海外から相手を呼ぶのは経費の負担も大きい。マッチメークはどうしても男子の後回しにされがちだ。

減量ならぬ増量「我流で」

 藤岡が複数階級制覇に目を向けたのも、女子の選手層の薄さが理由だった。防衛回数を重ねたくとも、挑戦者に見合うレベルの選手は何人もいない。同じ相手とばかり戦うわけにもいかないし、相手の質が下がるのはプライドが許さない。「人と違うことをやるとしたら複数階級制覇だった」

 階級を上げたり下げたりする選手はほとんどいない。しかも階級を飛び越えながらだから、体作りやコンディショニングの難しさは並大抵ではない。バンタム級では減量ならぬ増量を経験。プロテインを摂取し、食事の回数を増やした。増量という概念自体が存在しないボクシング界では頼れる人もおらず、「我流で乗り切りました」。

 女子では5階級制覇が世界最高記録。「ここまで来たらやりたい」と意気込む藤岡にチャンスが来た。10月29日、故郷の宮城県大崎市での挑戦交渉が進行中だ。階級は1つ下げてライトフライ級。ミニフライ級からバンタム級までの5階級のうち唯一残した階級だ。ラストピースを埋める一戦は41歳にとって集大成の戦いとなる。(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊7月3日掲載〕

人気記事をまとめてチェック

「スポーツ」の週刊メールマガジン無料配信中
「スポーツ」のツイッターアカウントを開設しました。

駆ける魂をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

コラム「駆ける魂」

駆ける魂 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

身長192センチ、体重115キロの巨体は海外選手と比べても見劣りしない

 最強を争う格闘技の世界では最重量級は特別な重みを持つ。この夏、空手で日本から久々に最重量級の「世界一」が誕生した。
 7月に行われた非五輪競技の国際総合大会、ワールドゲームズ(WG)で男子組手84キロ …続き (9/17)

師範の父が学生に胴上げされる姿を見たのが空手を再開するきっかけになった

 香川幸允(かがわ・ひでよし)が空手を始めたのは高校入学後の15歳。トップ選手ではかなり遅い方だ。実は小学1年のときに自らの意思で1年ほど道場に通ったが、「何でこんなにしばかれるのか」とギブアップして …続き (9/17)

目の回るような階級変更は女子ボクシングだからこそ

 トップボクサーたちが追い求めるロマンの一つ、複数階級制覇。日本では井岡一翔ら5人が世界で3階級を制しているが、実はそれを上回る4階級制覇チャンピオンが女子にいる。
 藤岡奈穂子、41歳。国内最高の女子 …続き (7/10)

ハイライト・スポーツ

[PR]