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サウスポーの視点(山本昌)

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打者優位の時代だからこそ 魅力的な三振と完封

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2017/7/2 6:30
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ペナントレースもほぼ半分が過ぎた。今季は優勝争いの傍らで様々な記録が打ち立てられている。中でも2000安打は達成ラッシュだ。6月には中日の荒木雅博、さらにはアストロズの青木宣親も日米通算2000本に到達した。巨人の阿部慎之助、ソフトバンクの内川聖一、阪神の鳥谷敬も間もなく達成するだろう。荒木と私は中日時代のチームメート。それ以外の選手たちも入団当初から対戦を重ねてきた。彼らがもうここまで来たのか。そう思うと感慨深いものがある。

6月3日に通算2千安打を達成した荒木=共同

6月3日に通算2千安打を達成した荒木=共同

かつては限られた大選手のものだった2000安打も最近は手が届きやすくなった。試合数が増えたこと、選手寿命が延びたことが大きな理由だ。私がプロ入りした1980年代に比べると身体、技術ともに理論が発達し、トレーニングも大きく進歩した。年齢を重ねてもパフォーマンスが下がらなくなった。選手の馬力も増した。現在の打者は多少詰まりながらでもヒットにできる。昔のように完璧にとらえなくても、多少の打ち損じならパワーで吹き飛ばせるようになった。

投打の進歩を比べると…

進歩したのは投手も同じだ。昔の高校生は甲子園で140キロ投げれば騒がれたが、今や150キロでなければ注目されない。しかし投打の進歩を比べると、打者は投手を上回っている。これは練習量の差が大きい。最新のマシンを使って好きなだけ打ち込める打者に対し、体ひとつが資本という投手は納得するまで投げ込むというわけにいかない。球質や制球力、変化球のキレなどは投げ込みを通じて磨いていくものだが、球数制限はむしろ厳しくなっている。2000安打が増えた一方、200勝が出にくくなったのもこうした時流を表している。

そんな打者優位の時代にあって、楽天の則本昂大が8試合連続2桁奪三振というプロ野球記録を打ち立てた。野茂英雄さんを2試合上回り、大リーグ記録と比べても最多タイという偉業だ。私は史上11位の2310三振を積み上げ、97年には最多奪三振のタイトルも取った。それでも2桁奪三振は現役32年間で8回あったかどうか。それほど難しく、素晴らしい記録だ。

則本は今季、直球が一段と走っている=共同

則本は今季、直球が一段と走っている=共同

いうまでもなく、三振を取れる能力は投手の大きな武器となる。特にピンチでは三振がもっともリスクの少ないアウトの取り方だ。私も1-2のような追い込んだカウントからはよく三振を狙った。理想は低めいっぱいの見逃し三振。ボールゾーンから浮き上がるようにしてストライクゾーンに決まる。打者にバットを出させない三振は最高の快感だった。27人を1球ずつで料理しての完全試合とすべて3球三振による81球での完全試合なら私は迷わず後者を選ぶ。三振はそれほど魅力的だ。

もともと三振の多い則本だが、今季は直球が一段と走っている。待っていなければ対応できない直球があるからこそ、スライダーやフォークボールも一段と威力を増す。プロの投手と打者は動体視力ギリギリの線を巡る攻防を繰り返している。則本は打者の動体視力を超えるボールを数多く投げているということだ。動体視力には日本も大リーグもないし、バットに当てることに関しては日本の打者の技術はピカイチ。則本の三振奪取力はワールドクラスと考えていい。

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