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日差しから体守る ランニングのお役立ちアイテム

ランニングインストラクター 斉藤太郎

日ごろ顔を合わせているランナーたちの肌はこの季節、徐々に日に焼けてきます。急に焼けた方を見ると「どこを走ってきたの?」という会話になります。今回は日差しと上手に付き合うポイントを説明させていただきます。

学生時代の夏場の練習では、上着を脱いでランニングパンツだけで走るようなこともありました。現在そのようなことをする人はまれではないでしょうか。日差しは年々強くなっていると思います。7月、8月あたりまではとても紫外線が強い季節です。晴天の日、太陽が高く昇っている時間帯のランニングは非常に過酷です。暑さに太刀打ちして強くなるという根拠のない根性論では生身の体は持ちこたえられません。

目を紫外線から守るにはサングラスが効果的

走力向上を前提とするのであれば、ランニングによる適切な負荷をかけることが基本です。「日差しの中で頑張って走った」「とても疲れた」というのは、実はランニングによる負荷を日差しによるダメージが上回っているにすぎないのかもしれません。

その疲労感はランニングによるものなのか。日差しや暑さによるものなのか。それを見極めることが大切です。

身につけるアイテムの工夫

<ツバのついた帽子>

キャップとサンバイザーの2通りあります。ツバが目を日差しから守ってくれて、リラックスして視界を保って走れます。多くの方は薄い生地のキャップをかぶっています。キャップは頭蓋骨を覆うように日差しから守ってくれるのですが、一方で頭が蒸れてしまうということもあります。そういう方はサンバイザーがおすすめです。ツバが視界を良好にし、頭は蒸れません。汗が滴り落ちるのをヘアバンドのように抑止してくれます。

<サングラス>

「眉間にシワを寄せる」という表現がありますが、目の周りをこわばらせ、力んでしまうと、良いパフォーマンスは発揮できません。目をリラックスさせ、かつ守るには、帽子のツバだけではなく目を紫外線からプロテクトしてくれるサングラスが効果的です。

生卵が一度ゆで卵になったら、もう元には戻らない。強い日差しに目をさらすという行為は、ある意味で目を電子レンジに入れるのと同じだそうです。タンパク質が熱で発火するとゆで卵のように白くなりますが、一旦そうなってしまうと二度と元に戻りません。裸眼で直射日光を浴びるというのはそういうことのようです。

私は、偏光レンズのついたサングラスを使用しています。今は後継モデルが出ていますが、オークリー社のフラッグジャケットという商品です。強い日差しでも目をリラックスさせて見ることができます。

どちらかというとダイレクトに自分の目で世界を見て走るのが好きなランナーですので、日差しを正面に見て走るようなときや、路面の照り返しが強くてまぶしいときには着用し、それ以外のときには後頭部側にかけるといったやりくりをしています。サングラスは、決して格好つけてかけているのではなく、パフォーマンス向上や目を守ることを意図して着用するものです。

サングラスにまつわる余談ですが、伝統校の中には、現在でも試合での着用はNGというチームもあるようです。また、メーカーと契約する選手は、レースが曇りでも雨でも常にそれを着用、もしくはカチューシャのように前頭部にかけて走ります。記者会見でもです。常時着用する契約内容になっているのでしょう。サングラスは安くない買い物ですが、取り換えがきかないご自身の目を大切にするためにも1つ用意することをおすすめします。

<UVカット機能が備わったアームスリーブ、レッグスリーブ、タイツ>

二の腕から手首にかけて腕を覆ってくれるアームスリーブ、すねの部分をカバーするレッグスリーブ、腰から足首までを覆うタイツなどを着用することで日差しから肌を守り、快適に走ることができます。

サングラスやアームスリーブを効果的に使いたい

メーカーにより機能や効能は異なってきますが、90%以上のUVカットで日差しによるエネルギー消費を抑えてくれるものもあるようです。また、かいた汗が揮発される気化熱により体を冷却する機能が備わっているようです。そのため、暑さの厳しいレースの際には給水所の水をあえて掛けるという作戦も可能となってきます。

日差しの話からはややそれますが、人は何かが肌に触れていると、肌と空間の境界線を認識しやすくなります。体幹、腕、脚先をカバーするこれらのツールは、適度な圧力によって体の各パーツの動きを本人に認識しやすくさせる。その結果、心地よく体を動かすことに結びつく効能も期待できるようです。

真冬の駅伝でも選手がアームスリーブと同じようなツールを着用していますが、あれはアームウオーマーで、保温性のある生地になっています。末端の冷えを予防するツールです。形は同じでも環境に応じて使い分ける必要があります。

<シャツ>

かいた汗がまとわりつかずに乾きやすいサラサラ感を保てる生地を選びましょう。UVカット機能が付いていたらさらに好ましいです。最近は「半袖Tシャツ+アームスリーブ」の組み合わせで走られる方が多くなってきました。綿100%のような生地ですと、汗が皮膚にまとわりついて息苦しくなります。

<日焼け止めクリーム>

かいた汗で流れてしまわないように、スポーツタイプだとかウオータープルーフというタイプを使用すると効果が持続します。私の経験上、走っていて焼けやすいと感じるのは両肩や首周り、うなじ、おでこのTゾーン、耳たぶ、前ももあたりです。

これまで紹介した対策ですが、仮に何もしなかったとすると、ランニング後には肌がしばらく火照って大変なことになります。

コースの工夫

「照り返し」という言葉をよく使います。上からの日差しだけではなく、路面から放射された熱までもが体へ返ってくるという現象です。オールウエザートラックや舗装された道路は照り返しが強いので注意しましょう。一方、土の上は照り返しが少ないといえます。

試しに路面そのものを触ってみてください。トラックや舗装路は高温で、曇っていても体温より高温で驚きます。できることならば、木々に覆われ日差しを避けた土の上を走ることをおすすめします。近場の公園にそんな環境はないか探してみてください。たとえ小さな周回になってしまっても、日差しの強い時間帯ではそんな木陰コースを辛抱強く走る練習がよいと思います。

週末に多く時間を取れる日には森林浴ができる環境でランニングすることをおすすめしたい

週末に多く時間を取れる日には森林浴ができる環境でランニングすることをおすすめします。わがニッポンランナーズではこの時期、山でトレーニングされる方が増えてきます。

時間帯

いうまでもありませんが、晴天の日中はランニングには向きません。少しでも快適に走りたいのであれば、朝か夜かという選択になります。路面を触るとわかるのですが、早朝の路面はひんやりしています。前日までの空気と路面の熱さが一旦リセットされ、爽やかな感覚で走れます。

一方で夜はどうでしょうか。気温こそ下がるかもしれませんが、路面の温度はなかなか下がってくれません。私は花火大会でアスファルトに敷いたシートに座っていて、体が火照りぐったりしてしまったことがあります。湿度が高い場合はさらに注意が必要です。汗が気化しません。せいろで中華まんを蒸す仕組みと似ていて、熱が体内にこもりやすくなるのです。

私は例え話が好きなので、いろいろとイメージを使って説明させていただきました。日差しや暑さと上手に付き合い、少しでもダメージを軽減できるスタイルでランニングをしていただければと思います。

<クールダウン>順路の景色、漠然としているのはなぜ?
 7月末に富士登山競走に出場予定です。3776メートルの山頂までは同じ富士吉田ルートで何度も登っています。レースだけでも9回です。約3時間半の旅ですが、順路の景色を具体的に記憶しきれていません。漠然とした何となくの記憶なのです。たとえば通過する山小屋が1つ2つ増えたとしても、自分は違いに気づかないと思います。
 一方でこれまで7回出場している福岡国際マラソンをはじめとして、ロードレースのコースの景色はほぼ具体的に記憶されています。何か前年との違いがあったら気づくと思います。この違いは何なのでしょうか。山は酸素が少ないせいでしょうか。徹頭徹尾苦しいレースだからでしょうか。差のない景色を繰り返し進むからでしょうか。そんなことを考えながら試走をしたのでした。

さいとう・たろう 1974年生まれ。国学院久我山高―早大。リクルートRCコーチ時代にシドニー五輪代表選手を指導。2002年からNPO法人ニッポンランナーズ(千葉県佐倉市)ヘッドコーチ。走り方、歩き方、ストレッチ法など体の動きのツボを押さえたうえでの指導に定評がある。300人を超える会員を指導するかたわら、国際サッカー連盟(FIFA)ランニングインストラクターとして、各国のレフェリーにも走り方を講習している。「骨盤、肩甲骨、姿勢」の3要素を重視しており、その頭の文字をとった「こけし走り」を提唱。著書に「こけし走り」(池田書店)、「42.195キロ トレーニング編」(フリースペース)、「みんなのマラソン練習365」(ベースボール・マガジン社)、「マラソンと栄養の科学」(新星出版社)など。

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