2019年2月21日(木)

AIでストップ万引き 防犯装置、怪しい行動検知

2017/6/29 6:30
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カメラやセンサーで怪しい行動を検知し万引きを未然に防ぐ――。アースアイズ(東京・中央、山内三郎社長)は人工知能(AI)を使い万引きなどを予測する防犯装置を開発する。臭いを検知する機能の開発も進め、違法薬物や飲酒も発見できるようにするなど用途拡大を目指している。

1月に発売した防犯装置を持つアースアイズの山内三郎社長

1月に発売した防犯装置を持つアースアイズの山内三郎社長

都内の書店。「いらっしゃいませ」という女性の声が天井の方から唐突に聞こえてきた。文庫本1冊をこっそり自分のカバンの中に入れようとしていた男性は驚き、慌てて本を元の棚に戻した。防犯装置「アースアイズ」の説明用に作った映像で、ぎりぎりで万引きを防げた様子を映した。

装置本体は店内の天井に設置し、内蔵のカメラやセンサーで来店者の動きを捉える。うろうろしたりきょろきょろしたりする不審な行動を検知して、万引きする可能性が高いとAIが判断すると、客に不快感を与えない内容の音声を流す。スマートフォンに通知したり遠隔操作したりすることも可能だ。

3次元(3D)の距離測定や画像処理、顔認証などの機能を搭載。カメラ映像から空間を3次元で認識し、複数の人が重なっても怪しい行動を見逃さないようにした。さらに心理学の知見を取り入れ、行動に表れる不自然な体の動きをAIによって分析することで万引きをはじめとする事件・事故を予測できるようにしている。

1月の発売以来、書店やスーパー、ドラッグストアなどに合計約1000台を納入した。本体価格は8万5000円(税別)からで、AI利用料が月2350円(同)としている。

開発のきっかけは山内社長が新卒で入った富士通を1992年に退職後、父親が経営していた小さな警備会社に勤めたことだった。現場で数多くの万引き事件を目の当たりにし、事後に犯人を特定するのではなく未然に防ぐことはできないかと考えた。

カメラメーカーなどを回るうちに映像を識別、判断するAIが登場し、その可能性に着目。企業向け防犯コンサルティングを経て2014年にアースアイズを設立した。ハードウエアやソフトウエアの開発を始めると同時に、AI活用などのノウハウを手に入れるため東京大学の研究者と組んだり高度なアルゴリズム(計算手法)を作れる技術者を採用したりした。

防犯装置としてだけでなく、活用の幅は医療・介護や製造現場にも広がる。例えば病院や介護施設では、うずくまったりふらふらしたりしている人を検知したら「大丈夫ですか」と声をかけ、反応がない場合は介護者や親族に知らせる。工場では生産ラインの異常検知といった活用法を想定している。

さらに臭覚センサーの開発も進めている。ガス漏れはもちろん、麻薬探知犬の代わりに空港などで違法薬物を見つけたり、観光バスや路線バスの運転手が飲酒していないかを判別したりすることができるようになる。

2月には日本総合研究所と三井住友銀行が有望なベンチャー企業を選ぶ発表会で優秀賞を受賞。6月は老舗商社のオザックス(東京・千代田)と提携し、スーパーやホームセンターなど同社が取引している大手小売企業に防犯装置を提案してもらえるようにした。

「小売業を中心に、20年までに20万台の販売を目指す」(山内社長)。将来はハードウエアとして販売するだけでなく、技術を他社メーカーのカメラに組み込めるようにして販売するアイデアも用意している。

(企業報道部 ゼンフ・ミシャ)

[日経産業新聞 6月29日付]

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