嫌いな芸人、石橋貴明が2年連続首位 あばれる君3位
好きな芸人 嫌いな芸人 2017
2017年版「一番嫌いな芸人」は石橋貴明が2年連続で1位だった。不動の1位から16年に2位に後退した江頭2:50は今回も2位に。このカテゴリーでは大きな変動があまり見られなかったなか、CMをはじめテレビ露出が増えた永野が7位に浮上した。

日経エンタテインメント!では、2017年もお笑い芸人の人気調査を実施。全国の男女1000人を対象に「一番好きなお笑い芸人」「一番嫌いなお笑い芸人」「この1年で最もブレイクしたと思うお笑い芸人」「これから1年で消えると思うお笑い芸人」の4項目で人気度を調査した(調査の詳細は「好きな芸人、ブルゾンちえみ初登場3位 さんまがV14」をご覧ください)。
「嫌いな芸人」は16年に続き石橋貴明が1位。理由として最も多かったのは「キャラクターが嫌いだから」。得票者の81%が理由として挙げた(詳しくは下表「嫌いな理由」参照)。「自分が大物芸人で暴力的な言動が許されると思っている」(56歳女性)といった声が寄せられている。

性別・世代別では35~54歳男性と25~34歳、45~54歳女性で1位という結果で、「とんねるずが若手芸人に高額商品を買うよう強要する企画は見ていて不愉快」(41歳男性)など、『とんねるずのみなさんのおかげでした』の具体的なコーナー企画を挙げて嫌悪感を示す人も。「実は後輩の面倒見がいい」といった陰の評判は、視聴者にはあまり浸透していないようだ。
2位は江頭2:50。35~44歳女性で1位のほか、45~54歳女性で2位と、比較的高齢の女性が彼の芸風を嫌っているようだ。理由は「ネタがつまらないから」(68%)がトップ。しかし一方でLINEスタンプが好調なほか、スマホアプリなど、その強烈なキャラクターを生かした商品は大きな人気を集めている。

あばれる君は16年6位から3ランクアップして3位に。理由は「ネタがつまらないから」(68%)がトップ。バラエティー番組で特に憎まれ役になっているわけではないが、「なんの芸もないと思うのに人気があるのが不思議」(性別・年齢無回答)との声もあり、露出の多さに見合った笑いを提供できていないと捉えている人が多いようだ。
4位は青木さやか。理由は「キャラクターが嫌い」(58%)がトップで、25~34歳男性で2位、35~44歳男性で3位など、男性での順位が高め。近年はバラエティーよりドラマや舞台のほうが主だが、NHKの情報番組『あさイチ』では月1でコーナーを担当している。かつてのヒールキャラがいまだに尾を引いているのだろうか。
5位は「好き」で1位の明石家さんま。「キャラクターが嫌いだから」(78%)が一番の理由だった。「好き」の理由と正反対になっているところが、代えの効かない「キャラクター」の持ち主であることを物語っている。
このほか7位の永野は25~34歳男性で1位と、突出して若い同性が「嫌い」に挙げた。「ネタがつまらない」(92%)が理由のトップ。「勢いだけの人はもう見苦しくて見ていられない。何が面白いのか全く分からない」(性別・年齢無回答)と、ネタの内容が理解できないという意見が多数。しかし、もともとは俳優の斎藤工が彼の大ファンということでテレビでクローズアップされる機会が急増した経緯があるほか、最近でもベッキーが「休業中に動画を何度も見て元気をもらった」と公言するなど、芸能界には根強いファンが多い。

綾部は、渡米をじらしすぎが原因?
新顔では13位のくっきー(野性爆弾)も「ネタがつまらない」(63%)という理由でランクイン。永野同様に、常識にとらわれないナンセンスなネタへの理解は、まだ一般的に得られていないようだ。既視感があったらすぐに「飽きた」と言われ、斬新なネタは「意味不明」とされてしまうところに、お笑いの難しさがある。
また20位圏外から新たにランクインした芸人には、ピースの綾部祐二や小籔千豊、ロンドンブーツ1号2号の田村淳がいる。いずれもトークが達者で、世間の風潮になびくことなく、自分の意見をはっきりと打ち出すタイプの面々だ。綾部は「キャラクターが嫌いだから」(85%)が理由のトップ。今春からニューヨークに移住すると宣言しながら、なかなか行かずに様々なバラエティに出演していたことで「行く行く詐欺」などと呼ばれてしまったが、渡米の発表タイミングがもう少し遅かったら、違う結果が出ていただろうか。
このほか、調査の中で出てきた「コメンテーターとしてのお笑い芸人が多くなっていると思う。人を笑わせるのが仕事なのに、真面目な意見を言うのはどんなものか」(36歳男性)、「様々な番組に進出しすぎている。専門家の意見や解説が聞きたいのに、芸人のネタや雑談に時間を無駄に使って、ストレスがたまる」(40歳男性)といった意見には、耳を傾ける必要がありそうだ。確かにコメンテーターとしての仕事をしている芸人が、「嫌い」に多数ランクインしている。
人気者を目指すお笑い芸人が仕事の幅を増やした結果、本業のお笑いがおろそかになり、嫌われてしまっては意味がない。視聴者はお笑い芸人に常に笑わせてくれることを期待していて、それが裏切られたときに「嫌い」という反応を示すとも考えられるだろう。
(ライター 遠藤敏文、木村尚恵)
[日経エンタテインメント! 2017年7月号の記事を再構成]
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