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目指すは絶対女王 フリースタイルスキーHP・小野塚彩那

3月のフリースタイルスキー世界選手権(スペイン)ハーフパイプ(HP)で男女を通じ日本勢として初の金メダル。前年までのワールドカップ(W杯)種目別2連覇に続く快挙だった。2014年ソチ五輪の銅メダリスト、小野塚彩那(29、石打丸山ク)は平昌五輪でも本命視される存在だ。

本人は騒々しい周囲に浮かされてはいない。「昨季はW杯でも勝っていない。何戦かあるうちの1戦を勝っただけ」。あくまで"暫定女王"の面持ちなのはライバルの実力を冷静に測っているからだ。

五輪、W杯から「Xゲーム」まで「一つも落とさず勝ちたい」と話す

着地に失敗して尻餅をつくと周囲が驚くほどの安定性に裏打ちされた美しいスキーが持ち味。「転ばないところまで精度を上げないと(技は)使わない。百発百中で打ち(決め)たい」。決勝で3度滑るうち、最高得点を採用する採点方式にあって「いちかばちかの賭けはしたくない」のはけがの防止とともに、競技に対する美学でもあろう。

昨季から冒頭に取り入れた2回転半の新技「900」(ナインハンドレッド)も順調に成功させた。着実に地歩を固めながら、しかし、その女王が「今はずばぬけている」と敬意さえ込める相手がいる。カナダの24歳、キャシー・シャープ。W杯まだ2勝、世界選手権では決勝進出はおろか予選最下位に沈んでいる。

いまだ眼下のはずの新鋭を警戒するゆえんは、両サイドのパイプで「900」よりもさらに一段高い難度の技を繰り出す演技構成。確度は「十発二中くらい」だが、それがはまった3月のW杯最終戦では世界選手権での小野塚や、ソチ五輪優勝スコアをしのぐ得点をたたき出している。

「(シャープの)ルーティン(技の構成)が決まったら勝てない」。覚悟を決めて夏場は技の底上げに取り組む。カギは難度の高い後ろ向きに滑る「スイッチ」。巧みなスキー操作で小野塚が優位に立つ部分だ。ここからの技の回転数を上げることも視野に入れ、その分ねじりに耐えうる太もも裏などの強化も重点課題。飛び出すタイミングの改善次第で高さもさらに出せる感触もある。

さらに「900も差をつけるには(板をつかむ)グラブも完成度を高めないと。今は入れているだけという感じ」という既存技の精度向上。昨季から2倍以上に増やした持久力強化のメニューも継続するつもり。シーズン終了後間もない4月初旬にはや雪上に戻り、5月下旬には米カリフォルニア州で鍛錬に励んだ。

五輪、W杯から世界最高峰といわれる大会「Xゲーム」まで「一つも落とさず勝ちたい」という。それが真の女王との哲学も持つ。「今は絶対といえるものがない。2段ぐらいステップアップしたい」。番狂わせも許さぬ隙なしの強さを身につけ、メダルの色を金に変えるつもりだ。

(西堀卓司)

 おのづか・あやな 新潟・南魚沼市生まれ。アルペンスキーから転向し、ハーフパイプが新種目となったソチ五輪で銅メダル。2014~15年シーズンからW杯種目別2連覇。17年世界選手権金メダル。

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