米ひげそり市場の王者「ジレット」に逆風

2017/6/23 6:30
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米国の男性用ひげそり市場で、長くシェア首位を守ってきた米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)傘下ジレットの「王位」が揺らいでいる。近年、新興のネット小売りや低価格のライバルに押されシェア縮小が続いていたところに、競合ブランドのシックがジレットの柄で使える替え刃の定期配達を安値で打ち出し、真っ向勝負を挑んだ。P&Gは看板ブランドを守れるか。

競争激化を受けてジレットも値引きに踏み切った(ニューヨーク市内の薬局)

競争激化を受けてジレットも値引きに踏み切った(ニューヨーク市内の薬局)

ジレットと競合するカミソリ大手ブランド、シックの親会社である米エッジウェル・パーソナルケアは5月下旬、登録会員にひげそりの替え刃を定期配達するオンライン・ショップ「シックハイドロ・ドット・コム」の立ち上げを発表した。サイトの目玉に据えたのがジレットの商品「フュージョン」と「マッハスリー」の柄で使える替え刃製品だ。

米国のひげそり市場では類似のサービスが定着しつつあり、シックはむしろ遅めの参入。巻き返し策で目をつけたのがジレットユーザーの奪取だ。高価格帯製品のフュージョンの柄で使える替え刃は、ジレットの自社サイトでは4つ入りで21.45ドル(約2400円、5枚刃)だが、シックは3つ入りで10ドル。6割程度の価格設定だ。

ジレットはこれまでブランド力を強みに、より多くのカミソリ刃を重ねた製品など付加価値をつけた商品を開発し、高価格帯で販売してきた。一度、柄を購入した消費者は同じブランドの替え刃を買うため、定期的な需要が見込めた。

だが、米金融危機以降、消費者の低価格志向が強まり、ブランド離れが進んだ。ネット会員に定期的に替え刃を配達する新業態も参入が進み、競争が激化。ひげを伸ばすスタイルの流行も逆風となった。

ジレット製品の新規購入の減少が替え刃需要の低迷にもつながり、シェア縮小に歯止めがかからない。米メディアが報じた市場調査によると、ジレットの米国のひげそり市場シェアは、過去5年で7割から6割弱に縮小したという。

P&Gが4月に発表した直近4半期(1~3月期)の決算では、ひげそりを含む「グルーミング」部門の売上高が前年同期比6%減少した。カミソリ製品の販売量減と値下げが影響したという。

P&Gも看板ブランドの落ち込みに危機感を隠さない。これまでにシックやひげそりネット小売り大手を相手取り、「誤解を招く広告」などを理由に訴訟を起こした。だが、消費者の呼び戻しには直接つながらず、守勢に立たされている感は否めない。

2月には、ジレット製品で1割を超える大幅値下げを進めると公表。5月には、同ブランド直営サイトからの替え刃の定期購入で、4回目を無料とする販促策と、携帯からテキストメッセージで替え刃を発注できる新サービスを導入した。

ジレットは「品質とバリューから二者択一する必要がなくなる」(ブランドディレクターのマーク・ジェフェリーズ氏)とユーザーの呼び戻しに期待をかける。シックの挑戦を受けて立てるか。ブランドの底力が問われることになる。

(ニューヨーク=西邨紘子)

[日経産業新聞 6月23日付]

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