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学童保育に異業種参入相次ぐ
ECCは外国人講師が常駐、阪急電鉄は傘下タクシーが送迎 本業の強み活用

2017/6/22 2:30
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 関西で異業種から学童保育事業への参入や施設開設が相次いでいる。英会話教室大手のECC(大阪市)は外国人講師が常駐する学童施設を4月に大阪市福島区に開設し、学童保育事業に本格参入した。阪急電鉄も4月に大阪府池田市で新規開設。傘下のタクシーを使った送迎などのサービスが特徴だ。

ECC学童スクールで、英語の授業を受ける児童ら(大阪市福島区)

 共働き世帯が増え、子供が小学校に入ると預け先がなくなる「小1の壁」が顕在化している。公設の学童施設が不足するなかで、民間企業の取り組みが需給ギャップ解消に一役買っている。

 「What is this?(これは何?)」。野菜の絵が描かれたカードを持った児童が尋ねると「It’s a cucumber(キュウリ)」と元気な声が教室にあふれた。ECCが小学1~3年生を対象に始めた英語レッスンの様子だ。

 4月に開業した「ECC学童スクール福島校」の児童数は現在35人で、外国人講師4人が常駐している。英国やフィリピンなど様々な国籍の講師からの週最大6時間、英語の授業が受けられる。毎月の利用料金は週5回利用する場合で税別5万9000円。得意とする英語だけでなく、茶道やそろばん、科学実験など体験を重視して取り組む。

 ECCは2015年に兵庫県西宮市に初の学童施設を開業した。保育士の確保が難しい保育施設よりも開設しやすいためだが、ノウハウを蓄積する中で学童のニーズは強いと判断。今年4月に福島と兵庫県芦屋市に同時に開業し本格参入した。

 新規事業プロジェクト室の金瀬務さんは「多様性が尊ばれる時代。英語学習の重要性はもちろん、講師との個人的な関係を通じ、子供の頃から異文化理解を深めてもらいたい」と話す。英会話教室の将来的な利用客を開拓する狙いもある。

 阪急電鉄も4月、池田市に学童施設「アフタースクールKippo(キッポ)池田店」を開業した。3カ所目の施設だが、阪急宝塚線池田駅の改札を出てすぐというアクセスの良さが特徴。子会社の阪急タクシー(大阪府豊中市)の車で小学校から施設に送迎するなど、自社の長所を生かしてサービスする。沿線住民の役立つ施設を手掛けることで沿線価値を高め、さらなる沿線住民の増加につなげる。

 厚生労働省によると、株式会社が担う全国の放課後児童クラブ(学童)の数は15年の640から1年間で894と4割増えた。大阪府内でも、カラオケ・給食受託大手のシダックスと学生寮の運営を手掛ける共立メンテナンスが東大阪市から学童事業を受託するなど、企業の存在感は高まりつつある。

 学童事業を運営する企業へのコンサルティングなどを行うNPO法人sopa・jp(東京・文京)は「ゴルフ場経営会社や不動産会社など異業種からの参入や、既に事業参入した企業の多店舗展開などの相談件数は増加傾向にある」という。同社担当者は「民間企業の既存事業を生かした魅力的な学童施設が増えることで両親の働き方と子供の教育の双方の改善につながればいい」と話す。

■公立は時間・教育内容に限界、民間施設が受け皿に

 関西は専業主婦が多く、女性の就業比率が低い傾向だった。アジア太平洋研究所の調べでは、2010年の国勢調査を基にした関西の女性就業比率は大阪府や兵庫県で全国平均を大きく下回っている。ただ近年の働く女性の増加で学童施設は足りていないのが現状だ。

 厚生労働省の調べでは、全国の放課後児童クラブ(学童)は16年に全国で2万3619カ所と前年比1011カ所(4%)増えた。内訳は、自治体が設置運営する「公立公営」が37%、自治体が設けて社会福祉法人などに運営委託する「公立民営」が45%、民間企業などが設置運営する「民立民営」は18%だった。

 大阪府全体では16年に1154カ所と前年比で49カ所(4%)増えた。小学校での受け入れなどが進み、16年の小学生の待機児童数は469人と前年比で約3割減った。

 ただ、小学校や公立の学童施設には課題もある。「平日の利用時間が民間施設に比べて短い。授業の延長でなく特定の能力を伸ばす教育を望む声もある」(大阪府子ども室子育て支援課)といい、民間がニーズの受け皿になっている。民間施設にも「もうからないからやめるでは困る」(全国学童保育連絡協議会)などの声がある。

 ▼学童保育

 共働きやひとり親家庭の小学生を放課後に預かる施設。厚生労働省によると、2016年の全国の待機児童数は1万7203人で、施設数の不足が問題となっている。国は14年に「放課後子ども総合プラン」を策定し、30万人分の放課後児童クラブの整備を明記。当初の計画を1年前倒しし、18年度末までに受け入れ児童数を122万人とする目標を立てた。

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