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五輪メダル級記録で初V 競泳・大橋悠依(上)

2017/6/25 6:30
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突如現れたシンデレラの快泳に、会場中がどよめいた。4月の競泳日本選手権、女子400メートル個人メドレー決勝。大橋悠依(21、東洋大)は序盤から他の選手を寄せ付けない圧倒的な泳ぎで日本記録を一気に3秒以上縮め、初優勝を飾った。

173センチの長身を生かした大きなストロークと伸びのある泳ぎが特長だ

173センチの長身を生かした大きなストロークと伸びのある泳ぎが特長だ

たたき出した4分31秒42というタイムは、リオデジャネイロ五輪の銅メダル相当。今季の世界ランキング1位に躍り出て来月の世界選手権(ブダペスト)、そして3年後の東京五輪のメダル候補に名乗りをあげた。

昨年の日本選手権でも400メートル個人メドレーで3位に入ったが、それ以前は同種目に出場していない。200メートル個人メドレーで過去にジュニアオリンピック優勝などの経験はあるが、大舞台での実績はほぼない。

師の見込んだ才能が花開いた

それがいきなりのブレーク。フロックか、もしくは遅咲きの大器か――。指導する東洋大水泳部監督で日本水泳界の名伯楽、平井伯昌は「水をつかむテクニックや体の浮きをみても、昔から将来性はあった。ようやく花開いた」と笑う。

「(記録が)出るなんて1割も信じてなかった。びっくり」。大橋はあっけらかんと話すが、記録は実は平井には計算通りだった。「練習から順調だった。トレーニングのいい部分をつなげると、31秒台ぐらいはね」

173センチ、55キロ。長身の体から繰り出す大きなストロークと伸びのある泳ぎが特徴だ。得意の背泳ぎがその真骨頂で、他の選手が速いピッチで腕を回す中、大橋は静かにすいすい前へ進む。日本選手権ではバタフライを泳ぎ終えた100メートル時点でリオデジャネイロ五輪代表の清水咲子(ミキハウス)との差は半身程度。だが、背泳ぎの200メートルターンでは体2つ分以上に一気に広げた。

また、3月の高地合宿で苦手意識のあったバタフライに重点的に取り組み、「前半から積極的にいけるのが武器になった」(平井)ともいう。呼吸コントロールやフォームの確認を重ね、大橋は「以前は100メートルを3番手で折り返す感覚だったが、今回は迷いなく最初からいけた」と話す。

ゆったりした滑らかな泳ぎとは裏腹に、性格は浮き沈みが激しい。「周りの様子を見て、タイムが悪いとすぐ弱気になる」と大橋は話す。母の加奈枝によれば、かつては思い通りにいかない嘆きを口にしたり、弱気を表情に出したりするのが当たり前だったという。

それでも大学進学後、平井の指導の下で鍛錬を積み、少しずつ自信へと変えてみせた。5月のジャパン・オープンも勝って波に乗る。平井は「ようやく順番が回ってきた。待ってて良かった」と目を細める。

同種目の世界記録はカティンカ・ホッスー(ハンガリー)の4分26秒36。大橋の記録より5秒も速いが、この1年の急成長ぶりから東京五輪では勝負できるかもしれない。「しっかり準備して、結果を出すつもり」。内に秘めたる闘志は十分。自らの力で、シンデレラの魔法を永遠のものとする。=敬称略

〔日本経済新聞夕刊6月19日掲載〕

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